【12月19日 AFP】米ナショナル・フットボール・リーグ(NFL)に人種差別問題が暗い影を落としている中、米ラッパーのディディ(Diddy)が同リーグでは初のアフリカ系米国人オーナーとしてカロライナ・パンサーズ(Carolina Panthers)の買収に名乗りを上げている。

 米経済誌フォーブス(Forbes)で8億2000万ドル(約923億円)を稼いだと報じられたニューヨーク出身のディディは、パンサーズの創設者であるジェリー・リチャードソン(Jerry Richardson)氏が、セクハラ疑惑が報じられて今季限りでの撤退を表明したことを受け、買収の意向を示した。

 パフ・ダディ(Puff Daddy)の名でも知られ、本名はショーン・コムズ(Sean Combs)であるディディは、自身のツイッター(Twitter)に、「パンサーズを買収したいと思う。これを拡散してくれ。アフリカ系米国人のNFLオーナーはいない。歴史をつくってやろうぜ」と投稿した。

 ディディのツイートに続いて、元NFLのQBコリン・キャパニック(Colin Kaepernick)と米プロバスケットボール協会(NBA)のゴールデンステイト・ウォリアーズ(Golden State Warriors)に所属するステフェン・カリー(Stephen Curry)のアフリカ系米国人のスター選手2人も、買収に賛同した。

 サンフランシスコ・フォーティナイナーズ(San Francisco 49ers)の元司令塔だったキャパニックは、黒人に対する警察官の暴挙や米国での人種差別に抗議して、国歌演奏時に手を胸に置く代わりに膝をつくパフォーマンスを最初に始めた人物として知られる。

 NFLでは3分の2以上の選手が黒人であるものの、オーナーがマイノリティー(少数派)である球団は、パキスタン系米国人の億万長者シャヒード・カーン(Shahid Khan)氏が所有するジャクソンビル・ジャガーズ(Jacksonville Jaguars)しか存在しない。

 また米プロスポーツ界でオーナーが黒人であるチームも一つしかなく、バスケットボール界の伝説マイケル・ジョーダン(Michael Jordan)氏が所有するシャーロット・ホーネッツ(Charlotte Hornets)だけとなっている。

 パンサーズを買収するにあたっては、NFLのオーナー会議で承認される必要があり、その中にはキャパニックの参入に反対の姿勢を示すオーナーもいると思われ、ディディにとっては高い壁に直面する可能性がある。(c)AFP