【12月19日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領が首都ワシントンの連邦裁判所判事候補に指名していたマシュー・ピーターセン(Matthew Petersen)氏が公聴会の答弁で裁判経験と法律の基礎知識の欠如を露呈する動画がインターネット上で広まり、ピーターセン氏は指名を辞退した。

 連邦選挙管理委員会(Federal Election Commission)の委員を務めるピーターセン氏だが、公聴会でジョン・ケネディ(John Kennedy)共和党上院議員から陪審員裁判、民事裁判、刑事裁判での判事経験をきかれながら、すべて「ありません」と答えた。

 さらに「連邦民事訴訟規則(Federal Rules of Civil Procedure)」を読んだのはいつかとの質問には「現在は日常的に読む必要がない立場にある」と述べ、「連邦証拠規則(Federal Rules of Evidence)」を読んだかとの問いには「ロースクールでざっと読んだと思う」と答え、法律知識の危うさも露呈した。

 こうしたやり取りの結果、ピーターセン氏が連邦裁判事に就任する見通しは薄れ、同氏は所属する共和党議員からも冷笑を買う立場に追いやられた。

 米CNNが報じたピーターセン氏からトランプ大統領に宛てた書簡によると、この数日間でピーターセン氏は自身の指名がトランプ氏と政権双方の支障となるとの考えに至ったという。

 反トランプ派は、ピーターセン氏の指名はトランプ大統領が候補者の能力の有無よりも政治的な思惑を重視していることの表れであり、「最適な人物を登用する」と断言した選挙中の公約と矛盾すると批判している。

 トランプ大統領による連邦裁判事の指名をめぐっては、すでに2人の候補がメディアに失言などを報じられて辞退している。(c)AFP