【12月19日 AFP】ツール・ド・フランス(Tour de France)で通算4度の優勝を誇るクリス・フルーム(Chris Froome、英国)がドーピング違反を指摘されている問題を受け、クリーンな自転車競技を目指す団体「信頼ある自転車競技のための運動(MPCC)」は18日、所属チームのチームスカイ(Team Sky)に対して同選手の出場停止処分を要求した。

 32歳のフルームは前週、初制覇を果たした今年9月のブエルタ・ア・エスパーニャ(Vuelta a Espana 2017)で実施された検査において、高レベルのぜんそく薬「サルブタモール(Salbutamol)」が検出されたことが発覚した。この薬は一定量の投薬は認められているものの、フルームの尿からは許容量の2倍に相当する値が示された。

 ところが、この薬は合法的に使用できることから、フルームは国際自転車競技連合(UCI)から処分を科されておらず、高レベルの数値であった点の説明を求められるにとどまっている。

 自転車ロードレースのトップカテゴリーであるUCIワールドツアーと同プロコンチネンタルチームのうち計43チームが加盟しているMPCCの規則では、ドーピング検査で陽性反応を示したライダーに対して、所属チームは即時に出場停止処分を科すことが義務けられている。しかし、同団体への加盟は任意となっており、メンバーに入っていないチームスカイは、今回の要求に従う必要はない。

 MPCCは、「MPCCメンバーに義務づけられているこれらの措置には、自転車競技界全体の利益のために透明性を図るという明確な目的がある。従って、MPCCとその役員会はチームスカイに対し、最終的な裁定に左右されることなく、結論が出るまで問題のライダーの出場停止を求める。こうすることによって、ライダーと所属チームは平穏に自己弁護を進められ、多くのチーム代表やライダーとの確執も避けられる」と述べた。(c)AFP