【12月18日 AFP】ミャンマーからイスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)が隣国バングラデシュに一斉避難している問題をめぐり、先月両国がロヒンギャ帰還合意に至ったわずか数日のうちに、ミャンマー軍がロヒンギャの村で家屋数十棟を焼き払っていた──。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(HRW)が18日、報告書で発表し、合意は単なる「宣伝工作」だったと非難した。

 HRWによると、衛星画像分析の結果、10月から先月にかけて40村の建物が破壊されたことが判明。これで今年8月以降に一部または全部が破壊された村の総数は354か所に達したという。

 またミャンマー・バングラデシュ両国が、ロヒンギャのミャンマー帰還を2か月以内に開始することで合意し覚書に署名した先月23日の週にも、数十棟の建物がミャンマー軍によって焼き払われたとしている。

 HRWのブラッド・アダムス(Brad Adams)アジア局長は、「帰還合意後数日以内にミャンマー軍がロヒンギャの村の破壊に及んでいたことは、安全な帰還という誓約が単なる宣伝工作だったことを物語っている」と述べ、帰還者の安全保障の約束も真に受けるわけにはいかないと指摘した。

 今年8月25日、ミャンマー西部ラカイン(Rakhine)州でロヒンギャの武装組織が警察の検問所を襲撃し、ミャンマー軍はその報復としてロヒンギャ掃討に乗り出した。以後65万5000人以上のロヒンギャがバングラデシュに避難し、レイプや超法規的殺人、放火のおぞましい証言を寄せている。(c)AFP