■「クロイドンの猫切り裂き魔」

 犯人は事件が最初に発生したロンドン南部の地名にちなみ、当初は「クロイドンの猫切り裂き魔(Croydon Cat Ripper)」と呼ばれていた。ジェンキンス氏とライジング氏は犯行のパターンを調べ、猫の死骸が学校のそばや公園、飼い主の自宅の窓の下に意図的に放置される場合もあることを突き止めた。

 初期の犯行で殺された猫を調べたところ、死因は鈍器による外傷で、脚の切断などは死んだ後に行われたと断定された。警視庁はAFPに対して「個人または集団が殺しと切断の両方を実行したと考えている」との見解を示した。

 動物愛護団体「動物の倫理的扱いを求める人々の会(PETA)」など2団体は、犯人逮捕につながる情報提供に対して、それぞれ5000ポンド(約75万円)の報奨金を提示している。

 SNARLは収集した情報から犯人像を分析し、公表している。年齢は40代で身長は180センチ前後の白人の男とみられるという。ライジングさんは「クロイドン育ちか、現在在住」の土地勘がある人物である可能性を指摘し、クロイドン周辺で容易に活動している点に着目していると述べた。

 ノッティンガム大学(University of Nottingham)のビンセント・イーガン(Vincent Egan)准教授(裁判心理学)は、犯人は系統立った科学捜査に精通している人物で、警察の行動を熟知しているため捜査の手を逃れているとの見方を示した。

■次の標的は人間?

 殺される猫が増え続ける中、ある疑問の切迫感はますます強くなる。猫殺しは生き物を殺したいという願望を持つ何者かにとって最初の段階なのだろうか、という疑問だ。

 警察の捜査を率いるアンディ・コリン(Andy Collin)部長刑事はスカイニューズ(Sky News)に対し、「連続殺人犯の暗い過去を調べると、動物虐待と関係があることが分かっている」と述べた上で、「懸念されるのは(猫を殺すだけでは)満足感が得られなくなり、人間に対して攻撃をエスカレートさせる可能性だ。特に弱い女性や子どもが標的になる恐れがある」と語った。(c)AFP/Edouard GUIHAIRE