【12月16日 AFP】国際サッカー連盟(FIFA)は15日、スペインサッカー連盟(RFEF)に対し、同国内での政治干渉を理由に2018年W杯ロシア大会(2018 World Cup)の出場権を剥奪する可能性があると警告する文書を送ったことを明らかにした。しかし、スペインのマリアノ・ラホイ(Mariano Rajoy)首相は、「FIFAからそのような書簡」は受け取っていないと否定している。

 この問題の背景には、RFEF会長として長期政権を築いてきたアンヘル・マリア・ビジャール(Angel Maria Villar)氏が、今年7月に資金横領などの疑いで逮捕された件がある。FIFAと欧州サッカー連盟(UEFA)の元副会長でもあった同氏の代役は現在、こちらもスペインサッカー界の管理職として長年君臨しているフアン・ルイス・ラレア(Juan Luis Larrea)氏が暫定的に務めている。

 日刊紙パイス(El Pais)によると、FIFAの警告につながったのは、ラレア氏が2020年まで残っていたビジャール氏の任期を自ら務め上げる意向を明確に示していることに対して、スペインスポーツ評議会(CSD)が反発していることだと伝えている。CSDからの要請を受けたスペイン政府は、昨年5月の会長選に不正があったとして改めてRFEF会長選を要求しており、FIFAはこの動きに対して国内の政治干渉であるとみなした。

 FIFAは声明で「RFEFに書簡を送り、同協会の現状に懸念を示していることに加え、FIFAの規定では、すべての協会メンバーがそれぞれの内部事情について独自に対処しなければならず、第三者の介入を受けないことを保証することを改めて伝えた」とコメント。「FIFAは現在、RFEFと連絡を取っている。近日中にはFIFA・UEFAの合同代表団がマドリードに派遣され、同連盟の状況について監視および審査する」

 RFEFとスペイン政府は同日、同国がW杯ロシア大会に参加すると主張。ラホイ首相は「筋書きが理解できない。私はスペインがW杯に出場して、必ず勝利することを確信している」と述べると、スポーツ相から伝えられた話として、「FIFAから正式な連絡は一切受けておらず、FIFAメンバーから面会を要求する書簡を受け取っただけである」と明かした。

 ビジャール氏は昨年5月のRFEF会長選で8期目の再選を果たし、スペインサッカー界の汚職ネットワークをつくり出した疑いで逮捕されるまで、29年間にわたり政権を築いてきた。先月にはスペインサッカー選手会(AFE)の元会長でビジャール氏の盟友でもあったルイス・ルビアレス(Luis Rubiales)氏が、ラレア氏自身の会長就任に反対する動議を提出。この動議については来年1月に投票が行われる予定となっている。(c)AFP