【12月15日 AFPBB News】ゴミ袋に詰め込まれた姿や、物干しざおに服と一緒に干されてしまう様子など、ユーモアたっぷりの「自撮り」写真を手がけたのは、なんと現在89歳の写真家、西本喜美子(Kimiko Nishimoto)さん。個展「遊ぼかね」が15日から来年1月18日まで、東京・西新宿の「エプソンイメージングギャラリー エプサイト(epSITE)」で開催され、自撮り写真を含む89作品が展示される。

 熊本在住の西本さんは、両親が農業指導のために滞在していたブラジルで生まれ、8歳で帰国。美容院を開業し、女子競輪選手として活躍後、27歳で結婚し、専業主婦として3人の子どもを育て上げた。72歳の時、アートディレクターである長男・和民(Kazutami Nishimoto)さんの写真講座に通い、初めてカメラを手にし、74歳で画像編集ソフトの使い方を学び、セルフポートレート写真の加工を始めた。

 倒れた自分と自転車を撮影し、事故にあったように加工したり、仏壇の前で宙に浮いてみえるように編集したり──。奇想天外な作品はインターネット上で拡散され、今では国内外から注目を集めている。「以前は本当の家庭主婦で、家で料理を作るくらいだった。写真を始めてから、すごい楽しい。友達もたくさんでき、なんといってもカメラ握っているときの楽しさ」と西本さんは笑う。

 自撮り写真以外にも、道端に落ちている「ガラクタ」を拾って撮影する作品シリーズもライフワークのひとつだ。和民さんは、「それでも本人にとっては宝物」と横で笑う。長年連れ添った夫を亡くした後、写真を通じて出会った「ガラクタ友達」の存在も、生きる支えになった。

 写真を撮り始めてはや17年。初めて都内で写真展を開催し、「すごくうれしい。うれしさと楽しさでいっぱい」と西本さん。来年は90歳を迎えるが、「いくつになっても、自分が歩ける限り、写真を撮っていきたい」と報道陣の前で、笑顔で一眼レフのシャッターを切った。(c)AFPBB News