【12月15日 AFP】イタリア・セリエAのACミラン(AC Milan)が不安定な状態のシーズンから立ち直ろうとする中、今夏有望な若手GKジャンルイジ・ドンナルンマ(Gianluigi Donnarumma)とクラブを巻き込んだ契約騒動が、再び注目されている。

 現在リーグ7位で、来季の欧州チャンピオンズリーグ(UEFA Champions League 2018-19)出場権獲得圏内まで勝ち点11差となっているミランは、リーグ戦と国内カップ戦での2連勝をさらに伸ばすべく、17日には敵地でのエラス・ベローナ(Hellas Verona)戦に臨む。

 前節はボローニャ(Bologna FC)に2-1で勝利し、13日のイタリア杯(Italian Cup)5回戦ではベローナを3-0で退けたジェンナロ・ガットゥーゾ(Gennaro Gattuso)監督率いるミランだが、国内ではドンナルンマの話題で持ちきりになっている。

 ユベントス(Juventus)の守護神を務めるジャンルイジ・ブッフォン(Gianluigi Buffon)のイタリア代表引退後の後継者と目されている18歳のドンナルンマとその代理人であるミノ・ライオラ(Mino Raiola)氏、そしてミランの関係性について、再びスポットライトが当てられた。

 今週初め、ドンナルンマは今年7月に年俸600万ユーロ(約8億円)の契約を更新した際に、「倫理的な嫌がらせ」を受けたと主張したと報じられた。

 ミラノの日刊紙コリエレ・デラ・セラ(Corriere della Sera)は12日、ドンナルンマがミランから契約を結ぶようにプレッシャーをかけられたとされることを理由に、ライオラ氏が契約のキャンセルを求めていると報道。

 本拠地サン・シーロ・スタジアム(San Siro stadium)で行われたベローナ戦を前に、ミランのサポーターからののしりの言葉を浴びせられたドンナルンマは涙をたたえ、ロッカールームでは主将のレオナルド・ボヌッチ(Leonardo Bonucci)に慰められた。

 14日にドンナルンマはインスタグラム(Instagram)のアカウントで「契約を結ぶときに倫理的な嫌がらせを受けたと言ったり、書いたりしたことはない」とすべてを否定している。

 ベローナ戦の前半にドンナルンマの立ったゴール裏でミランのサポーターは、守護神に対して侮辱するようなチャントを歌うと、「1年600万ユーロと寄生者の兄との契約で倫理的嫌がらせ? 今すぐ出ていけ、オレたちの我慢もここまでだ」と、非常に明確な自分たちの気持ちが記された横断幕を広げた。

 サポーターが言及した「寄生者」とは、ドンナルンマの兄アントニオ(Antonio Donnarumma)のことで、ドンナルンマが契約を結んだ翌日に、ギリシャ1部のアステラス・トリポリス(Asteras Tripolis)から移籍し、推定年俸100万ユーロ(約1億3000万円)という驚きの契約を結んだ。27歳のアントニオはミランのユースチーム出身で、ピアチェンツァCFC(Piacenza CFC)やFCバーリ(FC Bari 1908)でプレーしていた。

 ミランのスポーツ・ディレクター(SD)を務めるマッシミリアーノ・ミラベッリ(Massimiliano Mirabelli)氏は13日の試合後、ライオラ氏がドンナルンマとクラブの間にばかげたことを生み出した人物であり、同氏は自身の依頼人の移籍金をつり上げようと操作をしていると声を荒げた。

 これに対してライオラ氏は、伊紙ガゼッタ・デロ・スポルト(Gazzetta dello Sport)上で発した声明で、ミラベッリSDが「ミランの本当の問題である」とし、同SDが「ジジオ(Gigio、ドンナルンマ)を使って戦いを仕掛けている。この夏、ジャンルイジ・ドンナルンマには誰も断らなさそうなオファーが届いていた。しかし、彼は自分の心で選択をした」と反論した。

 先月解任されたヴィンチェンツォ・モンテッラ(Vincenzo Montella)前監督を引き継いだガットゥーゾ監督の前途多難な出発から、航海が安定してきたミランにとって、この古傷は最悪のタイミングで再び開かれてしまった。

 ミランは年末まで油断ならない日程を抱えており、イタリア杯準々決勝ではリーグ戦無敗で首位に立つインテル(Inter Milan)とのダービーも控えている。(c)AFP