【12月15日 AFP】ツール・ド・フランス(Tour de France)で通算4度の優勝を誇るクリス・フルーム(Chris Froome、英国)は14日、自身初の総合制覇を果たした今季のブエルタ・ア・エスパーニャ(Vuelta a Espana 2017)で薬物違反が指摘されたことは「ダメージ」であると認めた上で、汚名をすすぐ決意を示した。同選手は今年9月7日に行われたドーピング検査で、許容量の2倍に相当するぜんそく薬「サルブタモール(Salbutamol)」が検出された。

 チームスカイ(Team Sky)に所属するフルームに対し、国際自転車競技連合(UCI)は詳細な情報提供を求めているものの、世界反ドーピング機関(WADA)のガイドラインに従い出場停止などの処分は科していない。しかし、フルームから十分な回答が得られなければ、UCIは反ドーピング規定違反として処分検討に入り、同選手はブエルタのタイトル剥奪に加え、来季は長期間の出場停止処分が下される可能性もある。

 現在32歳のフルームは、英スカイ・スポーツ(Sky Sports)に対して「これはダメージだ。自分としても大きな衝撃を受けている」とすると、「自分は適切な手順を踏んでいると確信している。一線を越えたことはなく、最終的には潔白が証明されることを望んでいる。必ず不正疑惑を晴らしてみせる」と語った。

「すべてが終わったあと、ほかの人間がどう考えるかについては分からない。自分としては、持っている情報を提供して状況に対処していくしかない」

 一方、UCIロード世界選手権大会(UCI Road World Championships)のエリート男子個人タイムトライアルを通算4度制覇しているトニー・マルティン(Tony Martin、ドイツ)は、UCIの対応を「スキャンダル」と批判しており、「ダブルスタンダード(二重基準)だ」と激怒した。

 マルティンは自身のフェイスブック(Facebook)に「本当に頭にきている。これはクリス・フルームだけに適用されたダブルスタンダードだ。ほかのアスリートが検査で陽性反応を示したら、即座に出場停止処分が下されるのに。彼と彼のチームだけが、UCIから説明する時間が与えられている」と投稿した。

「特に最近では同様のケースはない。これはスキャンダルであり、彼は少なくとも世界選手権への出場を認められるべきではない」

 フルームのライバルであるナイロ・キンタナ(Nairo Quintana、コロンビア)も、マルティンと同じくUCIは選手全員を公平に扱うべきだとして、「同じ状況に直面したほかのライダーのときと同様に、当局には正しいことをしてもらいたい。当局はきちんと仕事をするべきだ。ほかのライダーと同じく、フルームは規則に従う必要がある」と主張した。

 スペイン・マドリードで所属するモビスター・チーム(Movistar Team)のプレゼンテーションに臨んだキンタナは、ツール・ド・フランスではフルームに敗れて2度の2位に終わっているが、昨季のブエルタでは同選手を破って総合優勝を果たした。(c)AFP