【12月18日 東方新報】中国・広東省(Guangdong)中山市(Zhongshan)東昇鎮(Dongsheng)で5日、中山・パンダ杯少年野球大会(Youth Baseball Championship of Zhongshan Panda Cup)が開幕し、中国、韓国、台湾などから8チームが参加した。「中国の野球の父」とされる梁扶初(Liang Fuchu)さんゆかりの大会で、ルーツは横浜の中華街にある。

 梁扶初さんは1901年、10歳の時に両親と共に来日。少年期を過ごした横浜中華街で野球に魅了された。14歳の時には、横浜で華僑の中華野球団を結成。32年、上海事変により帰国するまで、チームを2度も優勝に導いた。

 中国に帰国後、梁さんは上海でも41年に「熊猫チーム」を設立して野球を続けたが、日中戦争や文化大革命などの混乱により同国での野球は徐々に衰退してしまったという。扶初さんの死後、息子たちにはその遺志を引き継ぎ、中国での野球の普及活動に奔走。扶初さんの息子で、今年93歳になる梁友文(Liang Youwen)さんは2011年、中山市で「熊猫野球・ソフトボールクラブ」を設立し、かつて父が上海で作った「熊猫チーム」を「復活」させた。「今後も父の精神を受け継いでいってほしい」として、父の扶初さんが生前使用していたノックバットも贈った。今年も開幕式に出席した友文さんには、父の胸像が贈られた。

 同大会が東昇鎮で復活してから、今年で7回目を迎えた。スポーツによる町おこしは政府が推し進めているプロジェクトで、東昇鎮は「野球の盛んな街」として年々、中国内外でも有名になりつつある。会場の外ではダーツ大会も行われるなど、今後も野球を中心にさまざまなスポーツ大会を開催していくという。

 またこの日は、「新時代新都市新中心—スポーツが盛んな街のイノベーションと融合」をテーマにしたフォーラムも同時開催された。野球界の著名人や専門家などが日本や韓国から招かれ、スポーツによる町おこしの今後について意見を交わした。(c)東方新報/JCM/AFPBB New