【12月13日 AFP】米体操界で長年指導に携わり、いくつもの賞を受賞しているコーチが、選手と不適切な性的行為に及んでいたとして永久追放処分を受けた。米体操連盟(USA Gymnastics)の調査で違反が発覚し、同連盟が12日に処分を発表した。

 米体操界では、連盟の元チームドクターだったラリー・ナサール(Larry Nassar)被告が性的暴行罪などで現時点で禁錮60年を言い渡されている。そのショックが残る中で、今回は数々の賞に彩られていたコーチが、性的な問題で体操界から追放されたことが明らかになった。

 問題となっているコーチはトッド・ガーディナー(Todd Gardiner)氏。インターネットで紹介されていた経歴によれば、米体操連盟の倫理委員会の一員でもあり、指導者として複数の賞を受賞している。シカゴ郊外で体操の練習施設も開いていたが、先月中旬に手を引いていた。

 連盟は声明で「苦情の申し立て、そしてその後の調査と聞き取りに基づき、ある個人を(永久追放の)リストに載せた」と話し、ガーディナー氏が不適切な性的行為に及び、選手と性的な関係を持つという規則違反を犯していたことを明かした。連盟は本件についてこれ以上のコメントを発しておらず、ガーディナー氏の側からも、問い合わせに対する返答はない。

 地元紙シカゴ・トリビューン(Chicago Tribune)によれば、今回の一件とナサール被告の事件との間に関連はないという。また同紙は、ガーディナー氏が民事または刑事で訴追されているわけではないことも伝えている。

 ナサール被告の事件では、治療の名目で性的な暴行を受けたと告白する選手が100人以上も現れ、今月7日に判決が言い渡された。被害の訴えをすぐに当局へ届け出なかった連盟も大きな批判にさらされ、スティーブ・ペニー(Steve Penny)会長が辞任に追い込まれた。

 連盟はその後、新しい「安全指針」を採用し、性的暴行の疑いがあった場合は「報告を義務付ける」ようにしている。(c)AFP