【12月12日 東方新報】中国の物流会社、中鉄物流集団に勤めていた女性社員の林さん(データセンターマネージャー)、薇さん(カスタマー・サービスマネージャー)、明さん(カスタマー・サービス責任者)の3人は2016年12月ごろ、経営悪化を理由に役職の降格と減給を会社から通知された。しかしこの時、薇さんと林さんは妊娠中、明さんは産休を終えたばかりだった。3人は不公平だと感じ、降格と減給の確認書類へのサインを拒否したところ、退職を余儀なくされたという。

 林さんは2015年に入社後、結婚。「3月の出産予定だったのに、2月には社会保障を会社に止められてしまった」と話す。妊娠が判明した後に、会社から理不尽な扱いを受けるなど思いもよらなかったという。

 会社から降格と減給を言い渡された林さんら3人は、同僚らに確認したところ、同僚の多くは最低でも80%までの減給で、中には昇進、昇給している者もいることがわかった。減給が50%におよんだのは3人だけだった。

 3人が降格と減給の確認書類へのサインを拒否すると、会社は3人が担当していた業務を別の人に管理させた。仕事に必要なパソコンや机も運び出され、出勤カードも止められてしまい、強制的に追い出される形で離職した。

 離職後、北京(Beijing)朝陽区労働人事争議仲裁委員会へ仲裁を申し立て、中鉄物流に対し未払いの給与と補償を請求した。

 10月31日、まず薇さんの仲裁結果が出された。中鉄物流が出廷しなかったため、朝陽区仲裁委は中鉄物流に対し、薇さんの2016年12月1日〜翌17年1月31日までの給与約1万元(約17万円)を支払う裁決を下した。

 中鉄物流はこの判決を不服として北京市第三中級人民法院に提訴、仲裁の裁決を取り消すよう求めた。提訴の内容は「会社の経営悪化により、社内調整を行って薇さんにも役職の調整を命じたが、適当な理由がないにも関わらず拒否した。しかもその期間、欠勤が続いた。また、薇さんが妊娠したため健康診断書など資料の提出を求めたが、本人は無視した。よって2017年2月に本人との労働契約を解除した」としている。

 だが、同社は12月5日の開廷を前に起訴を取り下げた。これにより薇さんへの未払いの給与が支払われることが決定した。乳児を抱きながら出廷した薇さんと、この日証人として同じく乳児を抱き出廷した林さんは、「失業してからから現在まで授乳期であるため、新しい仕事も見つからない」と涙ぐんだ。3人は引き続き失業補償についても申請するつもりだと話した。(c)東方新報/AFPBB News