【12月9日 AFP】米国のバラク・オバマ(Barack Obama)前大統領が米シカゴで行われた会議で、ナチス・ドイツ(Nazi)を例に挙げて油断していると世界が混乱に陥る危険があると説き、物事に注意を払って投票に行くよう呼び掛けた。同氏が発言する様子の動画が8日、ソーシャルメディア(SNS)上で公開された。

「現状に満足して油断していると、人はそれまでの物事が自動的に続いていくと思い込む。だが実際は違う」とオバマ氏は語った。

「この民主主義の庭園には手入れが必要だ。さもなければ、物事はあっという間に崩壊し得る」として、1920年代後半と1930年代の世界を例に挙げた。

「1920年代後半か1930年代に(オーストリアの)ウィーンにあった舞踏場を思い浮かべてほしい。洗練されていて、興隆した音楽や芸術、文学、科学に満ちあふれ、永遠に続くように思えた」

「ところがその後、6000万人が死んだ。全世界が混沌(こんとん)状態に陥った」と述べたオバマ氏はシンプルな助言を聴衆に与えた。「だからこそ物事に注意を払い、投票しなければならない」

 大統領退任後のオバマ氏は比較的目立たずに過ごしており、歴代の大統領経験者の例に倣って声高に政治的な発言をすることはない。移民や気候変動といったドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領の個別の政策を批判したことはあったが、トランプ氏批判はおおむね控えている。

 オバマ氏は来年の中間選挙に向けた準備を進めるよう繰り返し民主党に求めている。そして、その時がくれば投票に行くよう呼び掛けている。(c)AFP