【12月9日 AFP】コンゴ民主共和国の北キブ(North Kivu)州で7日、国連(UN)平和維持活動(PKO)の拠点が武装勢力の襲撃を受け、PKO要員少なくとも15人が死亡した。当局関係者が8日、明らかにした。PKO要員が襲撃された事例では近年最多の犠牲者となっている。

 国連コンゴ民主共和国安定化派遣団(MONUSCO)は、北キブ州セムリキ(Semliki)にある活動拠点が「反政府勢力の民主同盟軍(ADF)と思われる勢力」に襲撃されたと述べた。

 国連安全保障理事会(UN Security Council)によれば、殺害されたPKO要員は隣国タンザニアの兵士。他にコンゴ軍兵士5人が殺害され、さらに53人の負傷者が出ている。アントニオ・グテレス(Antonio Guterres)国連事務総長は今回の奇襲攻撃を「許し難い」行為だと強く非難した。

 1万8000人の要員を要するMONUSCOは創設以来、たびたび襲撃されている。MONUSCOは国連PKO活動の中でも規模・予算ともに最大だが、グテレス事務総長は10月、MONUSCOの予算を削減しないようくぎを刺した。

 襲撃を実行した疑いが持たれているADFは、北キブ州で活動している武装勢力の一つで、ウガンダのイスラム系武装勢力。コンゴ民主共和国政府および国連は、北キブ州北部に位置するベニ(Beni)で2014年10月以降、ADFが700人以上を殺害したとして非難している。

 北キブ州では民間人が武装勢力に拉致されるケースなどを含め、暴力が日常茶飯事となっている。国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(Human Rights Watch)の報告によれば、今年6月以降だけでも同州で民間人500人が殺害され、少なくとも1087人が拉致され、11件の集団レイプが起きている。

 コンゴ民主共和国の広大な東部地域では長年、襲撃や暴力事件が多発しており、特に今年は、政府軍と民兵組織や、民族間の衝突による戦闘が著しく増加している。中でもウガンダとルワンダと国境を接する北キブ州では反目する民族間で殺害や拉致事件が増加している。

 国連は10月、コンゴ民主共和国に対し、紛争状態にあるイラク、シリア、イエメンと同等に相当するレベル3の緊急宣言を行った。

■退陣拒否する大統領に抗議デモも多発

 国連の推計では、コンゴ民主共和国の国内避難民は400万人以上に上り、昨年、自宅からの避難を余儀なくされた人々の数は世界最多の92万2000人に及んだ。

 同国ではまた、2001年に大統領の座に就いたジョゼフ・カビラ(Joseph Kabila)氏が昨年12月に任期満了を迎えながら退陣を拒否し、2018年12月まで大統領選の実施を見送っていることから抗議デモが多発している。

 カビラ大統領は9月に国連総会で「信頼性と透明性のある平和な大統領選の実施に向けて」準備を進めていると発言したが、大統領選をめぐる緊張が大規模な暴力へと発展する懸念は今も続いている。(c)AFP/Albert KAMBALE with Philippe RATER at the United Nations