【12月9日 AFP】欧州連合(EU)は8日、国際スケート連盟(ISU)に対して、非公認大会にスピードスケートの選手が出場するのを妨げている同連盟の規則を変更するように命じた。EUの行政執行機関である欧州委員会(EC)は、ISUの管轄外で高い報酬が得られる大会にアスリートが出場することの妨害を目的とした「偏向的で過酷な」罰則を破棄すべきであると述べた。

 ECで競争政策の責任者を務めるマルグレーテ・ベステアー(Margrethe Vestager)氏は、競技者の健康や安全を守るために各国際競技連盟(IFs)は重要な役割を果たしてきたとする一方で、その行動は束縛的であるとして、「ISUがスケーターに科している厳しい罰則は、連盟の商業的利益と守ると同時に、ほかの団体が独自の大会を開催することを妨げている」と述べた。

 これに対してISUは、ECの決定には合意できないと反発しており、「この裁定はスポーツの特性を考慮しておらず、スポーツにおけるフェアプレーを保護するための高潔性、健康、そして安全の原則よりも、商業的利益を優先するものである」と主張した。

 ECはまた、「ISUは今こそわれわれの裁定に従い、連盟の規則を変更する必要がある。そして、アスリートや大会主催者に新たな機会を開き、すべてのアイススケートファンに利益をもたらすべきだ」と主張したが、ISUは「大会主催者がISUの関連基準を実行している限り」、独立団体が大会を主催することを禁止してはいないと反論している。

 今回の問題は2018年平昌冬季五輪の開催国で、スピードスケートの人気が高い韓国の会社が主催する大会に焦点が当てられている。スピードスケートの五輪金メダリストであるドイツのマルク・タイテルト(Mark Tuitert)は、代表のチームメートであるニールス・ケルストホルト(Niels Kerstholt)とともに、この大会に出場すれば永久追放処分になると警告を受けていた。

 これを受けてECは、ISUの方針は「伝統的かつ革新的なスピードスケート競技の発展を制限するものであり、アイススケートファンがほかの大会をフォローする機会を奪っている」と指摘した。(c)AFP