【12月8日 東方新報】中国・深セン市(Shenzhen)で2日、深セン巴士集団(Shenzhen Bus Group)による「スマートバス」の公開式典が行われ、同社が「無人運転」のしくみについて紹介した。

 同社によると、「スマートバス」は「無人運転」が法律上は認められていないので実現させることができず、運転手が運転席に乗車している。無人運転に関する法整備が追いつかず、技術の発展を困難にしている状態だ。近い将来は、手動運転と自動運転を融合させた「スマート運転」を取り入れるという。

 式典で公開された「スマートバス」は、車両の運行状況をリアルタイムに監視・制御する。実際の状況に応じて、手動運転に切り替えが可能だという。

 一般のバスよりも一回り小さく、定員は25人。充電は40分間で完了する。一度の充電での航続距離は150キロ。運行時速は25キロ、最高速度は時速40キロまで出せる。

 バスの運行について、深セン市交通運輸委員会は、「スマートバス」は4か月のテスト走行が済み、現在はデータ収集のための試運転期間中だ。この間、無料で体験乗車を実施し、交通量や利用客、「スマート運転」システム運行などのデータに加え、利用客の意見なども収集する。

 自動運転システムによる世界基準はレベル0から5まである。「レベル0」はすべて人が運転することを指し、システムが加速・操舵・制動といった主制御系統の操作を行うことはない。「レベル5」は完全自動運転を指し、運転手の介入を必要としない状況ですべての操作をシステムが行う。

「スマートバス」の開発を担当した深セン海梁科技(Haylion)の穆毅(Mu Yi)氏は、「スマートバスは少なくともレベル3以上の自動運転が可能で、運転手による操作を必要とせず、システムによってほぼすべての操作を行えるが、人工知能(AI)が対応できないような突発的な状況に備え、運転手が監視することが必要だ」と話した。

 深セン巴士集団によると、バスが起動すると自動運転中はシステムが車線変更、加速、停車などを行うが、安全を保証するために、運転手がブレーキを踏むと手動運転に切り替わるようになっているという。

 同社広報担当の羅嵐(Luo Lan)氏は、「スマートバスが普及すれば、バス運転手の疲労を軽減できると当時に、運行の安全性も強化される。運転手不足の問題も解決するだろうし、サービスの質も向上する」と話した。

 現行の中国の『道路交通安全法』には無人運転と自動運転に関する規定がまだない。また、道路の設備など法律以外でもいまだ空白の部分が存在する。(c)東方新報/AFPBB News