【12月17日 AFP】コロンビアの港湾都市トゥマコ(Tumaco)では、半世紀続いた内戦が和平合意により終結してから1年が経過しても、いまだに銃弾が飛び交っている。

 荒れ果てた家々の壁には、銃弾による穴が開いている。かつて内戦から逃れた人々は、暴力が今もやんでいないことを思い知らされる。

 政府軍と左翼ゲリラ「コロンビア革命軍(FARC)」との戦いによって家を追われた人々は再び、銃弾にさらされている。今度は多額の利益をもたらす太平洋沿岸のコカイン密輸ルートをめぐり、勢力争いを繰り広げる麻薬密売グループらの抗争だ。

 マルシア・ペレアさん(47)は「私たちのアパートも銃撃されました。恐怖で赤ちゃんが泣き叫びました」と語る。リビングと寝室を仕切っていたドアの枠はいくつもの銃弾によって穴が開き、プラスチックの椅子も粉々に砕け散った。

 マルシアさんの隣人の大半は、国内の別の場所からここへ逃れてきた。コロンビアで50年以上続いた内戦によって家を追われた人々は、約700万人に上る。彼らが住む粗末な小屋は、悪臭を放つ沼地の上に立っており、ぼろぼろの木製の橋がもつれた蜘蛛の巣のように小屋と小屋をつないでいる。

 1991年からコロンビアで活動しているNGO「ノルウェー難民委員会(Norwegian Refugee CouncilNRC)」のクリスチャン・ビスネス(Christian Visnes)代表は「トゥマコは、コロンビアで続く紛争の中心地の一つだ」と語った。

 エクアドルとの国境に位置するナリーニョ(Narino)州の港湾都市であるトゥマコは、この地域一帯の大規模な麻薬密売ルートの中でもトップを占めている。ここからはボートや潜水艇を利用して、中央アメリカやさらにその北にある巨大市場・米国に向かうことができる。

 コロンビア政府は先ごろ、FARCや他のグループのメンバーらを追跡するため、9000人規模の軍や警察を配備すると発表したが、うっそうとしたジャングルと沿岸部のマングローブの沼地は、政府による監視を困難なものにしている。