【12月8日 東方新報】先日、浙江省(Zhejiang)雲和県(Yunhe)警察が、浙江省公安庁・禁毒総隊の指導の下、「笑気ガス」事件の容疑者らを雲和県人民法院に起訴した。警察によると起訴されたのは林、殷両容疑者など9人で、亜酸化窒素取り扱いの許可を得ずにインターネットやSNSを通じて違法に販売していたとして、違法経営の罪に問われている。

 亜酸化窒素、通称「笑気ガス」は麻酔作用があるため医療用麻酔剤として使用される。またホイップクリームなどの食品用のスプレーにも使用されている。人を笑わせるわけではなく、麻酔作用によって人の顔面の筋肉が弛緩し、笑っているように見えたことから、その名が付いたとされる。だが中国では現在、亜酸化窒素は麻酔薬もしくは向精神薬として管理・制限の対象として登録されておらず、『危険化学品目録(2015年版)』にリストアップされているだけで、民間での使用を規制する明確な法律はない。

 吸引量によっては精神疾患や死に至る危険性もあるが、近年は中国国内のバーやカラオケなどの娯楽施設でドラッグ常習者がドラッグの代用品として乱用するだけでなく、青少年の間でも広まりつつあるという。特に、「笑気球(亜酸化窒素風船)」がまん延。中国の関連部門は管理・規制を徐々に強めており、インターネット上で「笑気」などの単語をキーワード検索しても何も情報は表示されない。しかし一部で「ホイップクリーム用ガス」などと名前を変えて未だに販売を続けている者もいるという。

 しかし、中国国務院『危険化学品安全管理条例』によると、許可を得ずに危険化学品を販売するなどした場合、安全生産監督管理部門により経営活動の停止が命じられると共に、10万元(約169万円)以上20万元(約339万円)以下の罰金が科される。

 イギリスでは2006~12年の間、少なくとも17人が、亜酸化窒素を吸引したことが原因で死亡している。これにより同国では、いかなる個人も未許可で亜酸化窒素を含む薬品を吸引、または医師の処方が無いままに提供した場合、2年以下の服役と罰金が科される。日本でも、亜酸化窒素のガスボンベが乱用されていたことが明らかになり、厚生労働省が16年、指定薬物として医療用目的外の亜酸化窒素の生産、流通、販売を全面的に禁止している。(c)東方新報/AFPBB News