【12月8日 AFP】ロシアのビタリー・ムトコ(Vitaly Mutko)副首相は7日、自身が国際オリンピック委員会(IOC)から永久追放処分を科されたことについて、自国の選手が直面している問題に比べれば「二の次」であると述べた。IOCは5日の理事会で、国家主導のドーピングが指摘されているロシアについて、2018年平昌冬季五輪の参加禁止を発表。ただし、クリーンな選手については、五輪旗の下での出場を認めている。

 ムトコ副首相は、IOCから下された自身への制裁に関して、ロシアの通信社Rスポーツ(R-Sport)に対し「すべて二の次だ。今は私のことを問題にしている場合ではない」とすると、「この件について持論はあるが、注目すべきはアスリートたちだ。私が五輪に出席することを禁じられたことよりも、彼らの問題の方が心配だ」と述べた。

 国家ぐるみのドーピングに関与したとIOCから認定されたムトコ副首相は、この問題をめぐり2016年に開催されたリオデジャネイロ五輪への参加を禁じられたが、生き残っただけでなく、その後は副首相にまで昇進。さらに、自国開催の2018年サッカーW杯ロシア大会(2018 World Cup)では、組織委員会の責任者を務めている。

 ロシアスポーツ界への批判に対して、これまで反発の声明や激しい非難を繰り返してきた58歳のムトコ副首相は、スキャンダルにまみれた反ドーピングシステムの改革を訴える一方で、国家ぐるみでの不正行為の隠蔽(いんぺい)については否定。最近ではロシアを「悪の枢軸」に仕立てるための策略だとして、ドーピング疑惑を一蹴している。(c)AFP