【12月7日 AFP】(写真追加)仮想通貨「ビットコイン(Bitcoin)」の急騰をよそに、バーチャルな子猫を育てるのが一部の仮想通貨ユーザーの間で今、大ブームを巻き起こしている。

 ビットコインの主要なライバルの一つである仮想通貨プロジェクト「イーサリアム(Ethereum)」の利用者らの心を奪っているのは、20年前に日本で発売された卵形のデジタル携帯ペット「たまごっち(Tamagotchi)」を連想させる仮想の猫育成ゲーム「CryptoKitties(クリプトキティーズ)」だ。

 ユーザーは仮想通貨で子猫を購入し、餌を与えたり健康状態や飼育環境に気を配ったりして育てる。

 開発したカナダのアクシオム・ゼン(Axiom Zen)のウェブサイトによると、先週「クリプトキティーズ」を公開してから既に約5万匹が購入され、総取引額は660万ドル(約7億4000万円)を超えた。その後も、仮想猫たちはイーサリアムのブロックチェーン(分散型ネットワーク)上を着実に席巻しているという。

 イーサリアム上での取引量を追跡できる専門的なデータサイト「ETHガスステーション(ETH Gas Station)」によれば、クリプトキティーズはサービス開始直後からイーサリアムのコミュニティーで人気が爆発し、取引の約5%を占めるまでになった。

 アクシオム・ゼンはクリプトキティーズについて、「デジタル猫を収集し繁殖させられる」ゲームで、「2匹の猫を交配させた場合、生まれる子猫の外見と特性は、両親の256ビットのゲノムと運の要素で決まり、40億通りの遺伝的差異が生じる」と説明している。

 猫の販売価格はさまざまだが、1匹当たり10万ドル(約1130万円)以上が支払われた取引がサービス開始からの1週間で2件あったという。

 米ブルームバーグ・ニュース(Bloomberg News)はクリプトキティーズについて、仮想通貨アプリ以外では初めて成功したブロックチェーン・アプリだと評価。こうしたゲームアプリが軌道に乗れば、1089億ドル(約12兆2000億円)規模の世界市場を持つパソコンゲームやテレビゲームに対抗する存在になり得ると指摘している。(c)AFP