【12月7日 AFP】極めて小型の鳥ハチドリが、猛暑が原因で、餌よりも日陰を探し求めることを余儀なくされる場合があるとの研究論文が6日、発表された。地球温暖化によってハチドリの適応力そのものが試される可能性があるとして、同論文は警鐘を鳴らしている。

 西半球全域に300種以上生息するハチドリは平均して毎日自分の体重の半分に相当する量の蜜を摂取する。英国王立協会(Royal Society)のオンライン科学誌「ロイヤルソサエティー・オープンサイエンス(Royal Society Open Science)」に掲載された論文によると、1分間に1000回以上鼓動する心臓を持つハチドリは絶えず食物を摂取し続ける必要があり、日差しを避けるのに時間を費やしている余裕などほとんどないのだという。

 論文の主執筆者で、米オレゴン州のジョージフォックス大学(George Fox University)のドナルド・パワーズ(Donald Powers)教授はAFPの取材に応じ、「気温が高くなると、ハチドリは身を守るため、直射日光に長時間さらされる場所から移動する」と説明。しかし、「気候変動によって、体温の維持がますます困難になるかもしれない」と語った。

 温暖化はハチドリの生殖活動にも悪影響をもたらす可能性がある。繁殖期の観察結果では、ハチドリの社会的交流能力が損なわれることが示唆され、「気温の上昇は、繁殖に影響を与える可能性がある」と、パワーズ教授は指摘した。

 地球温暖化のカスケード効果(連鎖的な影響)は、ハチドリが栄養と日陰の両方を依存する植物にまで及ぶ。

 ハチドリの大半は熱帯に生息しているが、気候変動に応じて、多くの生物種がすでに実行しているように、ハチドリが、より気温の低い高地や涼しい気候の地域に移動した場合、そうした地域には、ハチドリが蜜を吸う花々がそれほど豊富には存在していない可能性がある。

 分布の急速な変化に関する問題は、ハチドリの他地域への移動のペースに植物の移動が追い付かないことだと、パワーズ教授は指摘する。

 パワーズ教授と研究チームは今回、非常に小さな羽で1秒間に50~200回羽ばたきするハチドリが、さまざまな温度下でどのようにして体から熱を逃がすかを調査するために、赤外線熱画像装置(サーモグラフィー)を使用。さらに、気温が上昇したときにハチドリの行動がどのように変化するかを、野生と実験室内の両方で観察した。

 パワーズ教授は、昨年、米アリゾナ州にあるチリカワ(Chiricahua)山の研究施設の一つで見た光景が思い出されるとして、「気温が44度を超える状態が長い間続いていると、ハチドリたちは明らかに苦しんでいた」と、話した。(c)AFP/Marlowe HOOD