【12月7日 AFP】英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット、Brexit)によって国内の各産業にどのような影響が出るかを分析する「影響評価」を、英政府が実施していなかったことをデービッド・デービス(David Davis)EU離脱担当相が6日、認めた。議員たちからは批判の声が上がっている。

 デービス氏は英下院のEU離脱委員会で、「経済モデルは全て誤りだと証明されている」ため好きではないと述べ、2008年の経済危機を例に挙げて「パラダイム」の転換を経済モデルによって具体的に示すことは不可能だと主張した。

 英政府は当初、英経済の58セクターについてブレグジットが及ぼす影響を評価した全850ページの報告書を離脱委員会に提出すると説明していた。だが、デービス氏は6日、この評価は単なる「セクター分析」に過ぎず、ブレグジットの影響を織り込んでいないことを明らかにした。

 航空、自動車、金融サービスなどのセクターでブレグジットの影響分析が一切行われてこなかったという事実はひんしゅくを買った。離脱委員会のヒラリー・ベン(Hilary Benn)委員長は「わが国が直面している最も根本的な変化について、政府は影響評価を一切行ってこなかったということか」と問いただした。

 これに対しデービス氏は、ブレグジット交渉が第2段階に入った「どこかのタイミングで」そのような評価を行うかもしれないと答えたが、委員たちからは批判が相次いだ。

 緑の党のキャロリン・ルーカス(Caroline Lucas)共同党首は、「デービス氏は極めて無能か、真実に悪戦苦闘しながら議員たちを愚弄(ぐろう)しているかのどちらかだ」と非難し、「いずれにせよ辞任すべきだ」と述べた。(c)AFP