【12月6日 AFP】米政府高官は5日、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が6日にエルサレムをイスラエルの首都として認めると明らかにした。

 高官は匿名を条件に、トランプ氏は6日午後1時(日本時間7日午前3時)にホワイトハウス(White House)で、米政府としてエルサレムをイスラエルの首都として承認すると発表すると語った。「大統領は、これは事実を認めるもの、歴史的な事実と現在の事実の両方を認めるものだと考えている」

 ユダヤ教徒、イスラム教徒、キリスト教徒の間で何世紀にもわたって繰り広げられてきた論争に飛び込んだ形のトランプ氏は、在イスラエル米大使館のテルアビブからエルサレムへの移転も命じるという。政府高官は「治安面や、新しい建物の設計、建設資金などの問題があり、移転先を見つけるには時間がかかる」と述べた。「数か月ではなく数年だ。時間がかかるだろう」

 エルサレムの帰属はイスラエルとパレスチナの紛争の中心的な問題で、双方がエルサレムは自分たちの首都だと主張している。しかし国際社会の大半は最終的地位交渉によってのみ解決される問題だとして、エルサレムをイスラエルの首都とは認めていない。

 トランプ氏がこの問題について発表するとの観測は波紋を広げ、サウジアラビア、エジプト、ヨルダン、欧州連合(EU)、フランス、ドイツ、トルコは反対を表明していた。広範な抗議デモが予想されるため、米政府職員はエルサレムの旧市街とヨルダン川西岸(West Bank)への立ち入り禁止を命じられた。

 しかし、トランプ氏は大使館移転を選挙公約に掲げており、最近苦境に立たされている同氏にとって死活的に重要な政治資金提供者や保守派、キリスト教福音主義者らには歓迎されるとみられる。

 ホワイトハウスは、今回の米政府の動きは最終的地位交渉に予断を与えるものではなく、どのように解決されるにせよ、西エルサレムは現在も将来においてもイスラエルの一部だという事実を追認するものにすぎないとしている。

 別の米政府高官は「トランプ大統領はイスラエルとパレスチナの間に永続的な和平が樹立されることを望んでおり、和平の達成には楽観的だ」と述べた。「トランプ大統領は『2国家共存』による解決を支持する準備がある…双方が合意すれば」と述べた。

 しかしトランプ氏のアプローチは自身が誇示してきた中東和平を仲介する努力に水を差し、レバノン、シリア、イラク、イエメン、カタールでの危機から脱しようとしている中東に新たな紛争の火種を巻きかねないとの批判もある。(c)AFP/Andrew BEATTY