【12月6日 AFP】北朝鮮・羅先(Rason)市にある羅津(Rajin)港に設置された、上部に有刺鉄線が施された高さ3メートルの金網フェンスは、国連が同国に科している石炭の禁輸措置の最前線となっている。

 羅津港は、中国とロシアと国境を接する経済特区「羅先経済貿易地帯(Rason Special Economic Zone)」にある。ここに山積みにされた石炭は、かつて北朝鮮から中国へと輸出されていたものだが、国連の禁輸措置が敷かれて以降、このフェンスの脇で留め置かれたままとなっている。

 すぐ隣の埠頭では、ロシアからの石炭が中国に向けて船積みされていた。石炭はロ朝合弁企業ラソンコントランス(RasonConTrans)がロシア国境から運搬している。今年に入ってからの取扱数量は約200万トンに上っている。

 ラソンコントランスによる経済活動は、国連安保理の制裁決議からは除外された。しかし、監視の目をかいくぐるための手段として、ラソンコントランスを利用したい人々からの働きかけは、これまでに幾度となくあったという。同社のローマン・ミンケビッチ(Roman Minkevich)副所長は「依頼は何度もあったが断った。わが社はそのようなことはしない」とAFPに述べた。

 国連の北朝鮮専門家委員会による年央報告書は、同国が「禁止品目の輸出で間接的経路を故意に使用していた」としている。

 北朝鮮政府にとっては長年、石炭は利益を生む商売だった。同国の主要同盟国で経済相手国である中国は、2016年に12億ドル(約1350億円)相当の石炭2200万トンを北朝鮮から輸入していた。

 だが、中国政府が北朝鮮からの輸入は止まったとしている一方で、ラソンコントランスの業績は急上昇している。2015年の営業開始以降、同社が取り扱う荷物は毎年倍増し、来年は300万トンを目標にしている他、将来的には同500万トンも見据えている。