【12月5日 AFP】国際刑事裁判所(ICC)のファトゥ・ベンスダ(Fatou Bensouda)主任検察官は4日、米主導のイラク進攻後、一部の英軍兵士らが現地で戦争犯罪を犯したと信じるに足る「合理的な根拠」があるとの見解を示した。

 これは米ニューヨークで9日間の日程で開かれているICC年次会議で発表された、予備調査についてまとめた74ページの報告書の中で明らかになった。

 ベンスダ検察官は、「得られた情報を事実と法に基づいて綿密に精査した結果…英軍兵士らが捕虜に対し、ICCが管轄権を有する戦争犯罪に及んだと考えるに足る合理的な根拠がある」と指摘した。

 人権団体や弁護士らは、2003年3月から2008年12月にかけてイラクで拘束された少なくとも1071人が拷問や虐待を受けており、同じ時期に英兵らも、自軍の拘束下にあった捕虜に対し52件の超法規的殺人を行ったと訴えている。

 ベンスダ氏はこれらの申し立てを受けて2014年、戦争犯罪に当たる捕虜虐待の調査を再開した。

 ただこれらの申し立てに加わったある弁護士団が後に、公式調査に絡む違法行為で有罪とみなされ、同弁護士団の主任弁護士が除名処分を受けた。

 とはいえベンスダ氏側は、同弁護士らが提出した個々の申立書は、拘束記録や診断書、写真といった「裏付けとなる資料によって立証された場合には信用できるとみなされ得る」としている。

 ベンスダ氏はICC判事らに本格調査の開始許可を求めていくかどうか、これから判断を下すという。(c)AFP