【12月5日 AFP】サウジアラビア当局が先月、イエメンのイスラム教シーア派(Shiite)系反政府武装組織「フーシ派(Huthi)」が首都リヤドに向けて発射した弾道ミサイルを迎撃・破壊したと発表したことについて、米紙ニューヨーク・タイムズ(New York Times)は4日、軍事専門家らによる分析結果を公表し、米国製の地対空誘導弾パトリオット(Patriot)による迎撃にサウジアラビアが失敗していた可能性があると報じた。

 フーシ派は11月4日、リヤドのすぐ北に位置するキング・ハリド国際空港(King Khalid International Airport)に向けて弾道ミサイルを発射。サウジアラビアの首都中心部を狙った初めてのミサイル攻撃で、イエメンの激しい内戦による脅威の高まりを浮き彫りにした。

 迎撃のためパトリオットが発射され、サウジアラビア当局はミサイルの残骸が地上に落下したことから、撃ち落としに成功したとしている。しかし、迎撃とほぼ同時刻に空港付近で大きな爆発音がしたと住民らは語っている。

 ニューヨーク・タイムズは、ミドルベリー国際大学院モントレー校(MIIS)を中心とする研究チームと共同で画像や映像を分析。サウジアラビア当局が回収し、公開したミサイルの破片は全てスカッド(Scud)とみられるミサイルの後方部のもので、パトリオットによる迎撃が成功したという当局の発表には疑問の余地があるという。

 また、スカッドは「ほぼ確実に」着弾寸前に二つに分かれるように設計されていたという。

 ニューヨーク・タイムズは分析結果から、パトリオットは標的を撃ち損じたか、弾頭を切り離した後のミサイルの後方部に当たった可能性があるとの見解を示した。

 研究チームを指揮したジェフリー・ルイス(Jeffrey Lewis)氏は同紙に対し、「政府は迎撃システムの成果について偽っているか、もしくは誤解している」と述べている。(c)AFP