【12月4日 AFP】大気汚染が深刻化しているインドの首都ニューデリーで3日、スモッグのためインド対スリランカのクリケットの国際試合が何度も中断を余儀なくされた。スリランカ代表選手らはマスクを着用して出場したが「フィールドから出て嘔吐(おうと)していた」と代表監督は話している。

 在インド米大使館のウェブサイトによると、この日ニューデリーにおける人体に有害な微小粒子状物質の指数は一時384に達していた。これは、世界保健機関(WHO)の定める安全基準の約15倍に相当する。

 ニューデリー市内のスタジアムで行われた試合は、複数のスリランカ代表選手が健康上の問題を訴えたため、審判団が主審やチームドクターらと協議して約20分間中断した。その後、試合は再開されたがスリランカ代表はさらに2回にわたって抗議。スリランカ側は野手が足りなくなってしまった。

 インドのクリケット協会は、ささいなことで騒ぎ立てたとスリランカ代表を非難し、同国の協会に対して抗議の書簡を送ると明言した。

 しかし、スリランカの代表監督は、フィールドの汚染レベルが「極度に高い」状況で自国の選手たちは体調を崩したと反論。「フィールドから出て嘔吐する選手が何人もいた」と報道陣に語った。「ロッカールームには酸素ボンベが設置されていた。試合中にあんな目に遭うなんて、選手にとっては普通じゃない」

 ニューデリーでは先月、大気汚染レベルがWHOの安全基準の40倍に達し、医師会が公衆衛生上の緊急事態だとして警告。市内の全学校が休校した。しかし、医師らが健康に著しい悪影響があるとして延期を求めたハーフマラソン大会は強行され、3万人以上が参加した。(c)AFP/Faisal KAMAL, Nick Perry