【12月2日 AFP】米航空宇宙局(NASA)は1日、1977年に打ち上げた探査機「ボイジャー1号(Voyager 1)」の噴射エンジンを37年ぶりに動かすことに成功した。

 太陽系外惑星を探索するために40年前に打ち上げられた無人探査機ボイジャー1号は、人類史上、地球から最も遠くを飛行する人工物となっている。だが、地球との通信を続けるためにはアンテナの向きの微調整が必要となっていた。「地球から130億マイル(約210億キロ)離れた位置では、近くに調整を行う修理工場もない」とNASAはプレスリリースで表現。

 NASAのジェット推進研究所(Jet Propulsion Laboratory)の専門家チームは、1980年11月8日を最後に使用していなかったバックアップエンジンを作動させることにした。主任エンジニアのクリス・ジョーンズ(Chris Jones)氏によると「ボイジャーのフライトチームは何十年も前の古いデータを掘り起こし、旧式のアセンブリ言語でデータ化されたソフトウエアを検討し、エンジンを確実に安全に試験できるようにした」という。

 チームは先月28日にエンジンを試験始動。19時間35分後にテスト結果が、米カリフォルニアのゴールドストーン(Goldstone)に設置されているアンテナに届き、エンジンがうまく作動することを確認した。

 バックアップエンジンが使用可能なことが判明したおかげで、ボイジャー1号の寿命は2~3年延びたという。NASAはバックアップエンジンの同様のテストを、同じく77年に打ち上げたボイジャー2号(Voyager 2)でも行う見込みだ。

 ボイジャーからは現在も毎日データが届いており、今後約10年間はデータが送られてくることが期待されている。プルトニウムの原子力電池を動力源としているボイジャーは、電池の寿命が尽きるまで航行し、その後は天の川銀河(Milky Way Galaxy)の中心で周回を続けることになる。(c)AFP