【12月1日 AFP】北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン、Kim Jong-Un)朝鮮労働党委員長の異母兄、金正男(キム・ジョンナム、Kim Jong-Nam)氏が今年2月マレーシアで、猛毒の神経剤VXによって殺害された事件の裁判で、被告の弁護士は1日、正男氏がVXの解毒にも使われる薬剤を携行していたことを明らかにした。

 今年2月13日、クアラルンプール国際空港(Kuala Lumpur International Airport)で発生したこの事件をめぐっては、マカオ(Macau)行きの航空機に搭乗しようとしていた正男氏を殺害した罪で、インドネシア国籍のシティ・アイシャ(Siti Aishah)被告とベトナム国籍のドアン・ティ・フオン(Doan Thi Huong)被告に対する裁判が行われている。

 事件発生から数日後に逮捕された両被告は共に無罪を主張しているが、有罪と認められれば絞首刑に処される可能性もある。

 この裁判でアイシャ被告の弁護士は、今週マレーシア政府の毒物専門家が行った証言を引用し、正男氏が持っていたリュックサックからアトロピンの錠剤12個が見つかったと述べた。

 アトロピンは、VXなど神経剤攻撃の被害者に対する治療薬として用いられる他、胃けいれんを抑えるなどの効用もあるという。

 ただ同弁護士は、正男氏がアトロピンを携行していた「動機や理由は特定されていない」としている。(c)AFP