【12月1日 AFP】ヨルダン北部にある数万人のシリア難民が暮らすザータリ(Zaatari)難民キャンプで11月13日、難民たちの生活の質の向上を目的とした太陽光発電所が開設された。この太陽光発電所は難民施設に設置されたものとしては過去最大だという。

 国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、12.9メガワットの総発電能力を持つ計4000枚の太陽光パネルは、ザータリ難民キャンプで生活する8万人に対し、1日当たり14時間分の電気を供給することを目的としたものだという。

 この太陽光発電所の事業には、ドイツが1500万ユーロ(約19億7000万円)を出資した。

 UNHCRヨルダン事務所のステファノ・シビーレ(Stefano Severe)代表は、UNHCRはこれまで1日につき8時間分の電気を供給し、その経費は1か月当たり50万ドル(約5600万円)だったが、「この太陽光発電所とドイツからの資金援助によって、今後は経費ゼロで14時間、(電力を)供給することができるようになるだろう」と述べた。

 シビーレ代表によると、これまでの経費分は難民キャンプのその他の設備・施設等の向上のために利用されることになるという。

 同代表はさらに、電力供給時間が追加されることによって、子どもたちが夜間に勉強する機会が増える他、食品を冷蔵庫に保管したり外部と通信したりするなど、難民らの生活の質の向上が見込まれるとも述べた。

 UNHCRによると、ヨルダンでは今年5月、シリア難民3万5000人が生活するアズラク(Azraq)難民キャンプで発電能力2メガワットの太陽光発電所が稼働し、再生可能エネルギーで電力がまかなわれる世界初の難民キャンプとなった。(c)AFP