【12月4日 東方新報】今年、大学に合格したばかりの李さんは2017年6月、北京(Beijing)発天津(Tianjin)行きの列車K1301号に乗車していたところ、「鼻を突く臭い」がしたという。車内に設けられた喫煙エリアで乗客が喫煙していたが、車両全体にタバコの臭いが充満していたという。李さんが両都市間を往復で利用した列車の両方に喫煙エリアが設けられており、乗客以外にも鉄道関係者もそこで喫煙していたという。

 列車の安全注意事項には「列車内のいかなる場所における喫煙行為を禁止する」と明記されているのにもかかわらず、車内には喫煙エリアが設けられ、灰皿が置かれていた。李さんは理不尽だと感じた。

 そこで、李さんは列車を運行しているハルビン(Harbin)鉄路局を相手取り、提訴した。切符の代金102.5元(約1730円)の返還と、列車内の喫煙エリアと灰皿の撤去を求めたほか、精神的苦痛を味わったとして1元(約16円)を要求した。李さん側の弁護士は、「この裁判を通して普通速度列車の全面禁煙が進められれば」と話した。

 11月14日、北京鉄路運輸法院で、双方の弁護士から証拠が提出された。原告側は乗車当日の証拠として、列車の切符とタクシーの領収書などを提出したほか、国家鉄路局政府情報公開告知書、鉄路旅客乗車安全注意事項の写真、乗車した列車車内の喫煙エリアを利用する乗客の写真なども証拠として提出された。被告のハルビン鉄路局側は、『鉄路旅客運輸サービス規範』(列車部分)といった内部書類を提出し、「法律に従って運営しており、違反は存在しない」と主張した。

 また、首都医科大学(Capital Medical University)の崔小波(Cui Xiaobo)教授が原告側証人として、李さんの置かれた特殊な状況——普通速度列車は公共の乗り物であり乗客も多く、空間は狭いことが特徴だとし、喫煙を禁止しなければ、すべての乗員乗客に危害がおよぶことになると証言した。

 記者は8月16日、北京から普通速度列車を利用し廊坊(Langfang)へ向かい、その日の午後に北京に引き返す際に、持っていた空気質測定器で喫煙前後の車両の空気について測量と比較を行った。発車の際、車内のPM2.5濃度は61.12であったのに対し、乗客が喫煙エリアで喫煙をしている際、喫煙エリアのPM2.5濃度は914.90、車両内のPM2.5濃度は269.03と表示された。

 原告側の弁護士は受動喫煙を取り締まらないのは条例に違反しており、ハルビン鉄路局はこの件に関して法的責任を負うべきだと反論した。(c)東方新報/AFPBB News