【11月30日 AFP】北朝鮮の新型ミサイル発射実験をめぐり、米当局者は29日、米軍は少なくとも当面の間は、北朝鮮によるいかなるミサイルの脅威からも国を守れることに自信を持っていると述べた。

 北朝鮮は現地時間29日、「火星15(Hwasong 15)」と呼ぶ新型の大陸間弾道ミサイル(ICBM)の発射実験に成功したと発表。このミサイルには米本土のあらゆる標的を攻撃できる「超大型の核弾頭」を搭載可能と主張している。

 米当局者は匿名を条件にAFPに対し、米国は保有するさまざまなミサイル防衛システムによって北朝鮮によるミサイル攻撃を阻止できるとの見解を変えていないと語った。一方で、この保証がいつまでも続くとは確約できないと述べた。

「現段階で北朝鮮が米国への核攻撃に成功するとは思わない。現時点で米国は北朝鮮のあらゆる攻撃を阻止できるという一般的な感覚があるが、未来に関しては分からない」(同当局者)

 米軍はICBMなどを迎撃するため、アラスカ(Alaska)州のフォートグリーリー(Fort Greely)とカリフォルニア(California)州のバンデンバーグ空軍基地(Vandenberg Air Force Base)に地上配備型中間段階防衛(GMD)システム計44基を配備。GMDシステムは、大気圏外に迎撃体を発射し、飛来している標的を運動エネルギーを利用して破壊するものだ。

 5月にはバンデンバーグ空軍基地でICBMを想定した迎撃実験を実施し、成功している。実験ではGMDミサイルの迎撃体を大気圏外に発射し、ICBMの模擬弾に直撃させて破壊した。

 GMDシステムはこれに先立ち2014年の実験でも成功したものの、それ以前に実施したICBM以外の速度の遅いミサイルを標的とした3回の迎撃実験では失敗していた。

 前出の当局者は、これらのGMDシステムは米本土と海外領全域を防衛可能なので、今のところ東海岸に追加配備する必要はないと述べた。

 GMDシステムはならず者国家が発射する少数のミサイルには対応できるが、ロシアのような核を保有する超大国から全面攻撃を受けた場合は圧倒され対応しきれない。(c)AFP/Thomas WATKINS