【11月29日 AFP】インドネシア・バリ(Bali)島のアグン山(Mount Agung)で大規模な噴火が起きる恐れが高まり、当局はこのほど警戒レベルを最高に引き上げた。今後に起こり得る事態について、専門家らに意見を聞いた。

■既に噴火しているのか?

 英オックスフォード大学(University of Oxford)の火山の専門家デービッド・パイル(David Pyle)氏はこの質問に対し、「噴火している」と端的に答えた。だが今後、さらに状況が悪化する恐れもあるとしながら、「現在われわれが目にしているのは小さな爆発で、高温ガスと岩石のかけらや灰を噴出している」と語った。

 豪アデレード大学(University of Adelaide)のマーク・ティンゲイ(Mark Tingay)氏も、「火山灰の継続的な噴出は25日に始まった。噴煙は高さ3000メートルにまで達している」と説明。「既に次のより激しい段階に移っている。粘性の溶岩がガスを閉じ込め、圧力が蓄積されて爆発へとつながる恐れがある」とした。

■大規模噴火の可能性は?

 今回のアグン山の動態について複数の専門家は、1600人の死者を出し、約10億トンもの噴出物を放出した1963年の破壊的爆発に至る過程と同様と指摘している。この時の噴火で生じたエアロソルによって、地球の平均気温は約1年にわたり0.2~0.3度低下した。

「1963年の経験に基づくと、現在の活動はその時の初期の状況に極めて似ている」とパイル氏。「大規模噴火が起きる確率は高い。ただ、数日~数週間後となるかもしれない」

 噴火の恐れを指摘する専門家は他にも複数いるが、一方でより慎重な意見もある。

 英ポーツマス大学(University of Portsmouth)の火山学者カーメン・ソラナ(Carmen Solana)氏は、「火山活動がどう展開するかを予想するには時期尚早」とし、「急激に活発化し大規模噴火となることも考えられるが、逆に収束する可能性もある」と述べた。