【11月30日 東方新報】シェアリングエコノミー業界で経営困難に陥る企業が相次ぎ、利用者の保証金が返還されないという事態に陥っている。保証金が返ってこないといった問題は、中国で人気を集めているシェア自転車業界も例外ではない。現在すでに6社が倒産し、未返還の保証金は10億元(約168億円)以上に上るという。

 保証金が返還されない問題は、主に経営が悪化している「小藍単車(Bluegogo)」「酷騎単車(Kuqi Bike)」「小鳴単車(Xiaoming Bike)」などの企業で起こっており、利用者の多くは返還をただ待つか、クレームの電話を入れるなどしているが、依然として保証金の返還は困難だという。ちなみに、業界大手のモバイク(Mobike)の保証金返還期間は「2~7営業日」、ofoは「3営業日」となっている。

 交通運輸部の大まかな統計によると、現在中国には70社近いシェア自転車企業が存在する。シェア自転車の車両は計1600万台、登録利用者は1億3000万人を超えているという。シェア自転車の保証金は300元(約5049円)以内が一般的だが、各社が集めた保証金だけで100億元(約1683億円)を超える。

 山西省(Shanxi)太原市(Taiyuan)に住む王さんは2017年3月、300元の保証金を支払って「酷騎単車」に利用登録した。同年9月、「酷騎単車の保証金が返ってこない」という友人の話を聞き、急いで解約の手続きを開始した。

 王さんのアカウントには当初、「1~7営業日以内にご返金いたします」と表示されていた。しかし、その後になって期限はどんどん延期され、最終的には「2か月後」と表示された。王さんが数日前、再度アカウントを確認してみたところ、298元(約5016円)あったはずの保証金はいつの間にか消失し「0」と表示されていた。王さんは酷騎単車のカスタマーサービスへ何度も電話をかけてみたが、つながらなかったという。

 北京市(Beijing)にある酷騎単車の本部のビルの下には9月末、返金を求める利用者が押しかけた。しかし後日、酷騎単車の創業者、高唯偉(Gao Weiwei)氏は報道陣に対し、「利用者の保証金の一部を会社の運営資金に回していた」と告白した。こうした問題は酷騎単車だけではなく、「小藍単車」や「小鳴単車」でも起こっていた。

 中国政法大学(China University of Political Science and LawCUPL)伝播法研究センター(Communications Law Research Center)研究員の朱巍(Zhu Wei)副教授によると、『消費者権益を侵害する行為についての処罰方法』によって保証金は15営業日以内に返還しなければならないと規定されている。さらに、保証金とその権利は性質上、企業に属さず、消費者に属するものであると明記されているという。「保証金を株取引や不動産取引、投資、資本に追加するなどといった行為はすべて違法である」と話した。

 中国交通運輸部など10部門は8月、『オンライン・シェア自転車の発展についての奨励・基準化指導意見』を8月に発表している。「企業は利用者の保証金返還制度を完備すべきだ」とし、企業の買収、合併、再編成、市場撤退などの場合にも、合理的な方案を制定し、利用者の権利・利益と資金の安全を確保するよう求めている。さらに、企業が利用者から集めた保証金や、自転車を利用するためにチャージされた金額は、厳密に企業自身の資金と分けて管理されるべきであり、それぞれ独立した銀行口座を開設し、監督・管理を受け入れることとしている。

 交通運輸部の呉春耕(Wu Chungeng)報道官は11月23日に行われた記者会見で、交通運輸部は関連部門と問題を分析していることを明らかにした上で、「『指導意見』に基づき対応措置を話し合い、消費者の利益を守り、健康的で秩序のある業界の発展を促進していく」と述べた。

 ある専門家は、保証金を担保にする方法はいずれ淘汰(とうた)されるだろうと話している。実際にofo、モバイクなどのシェア自転車トップ企業はすでに保証金を免除している。たとえばofoはアリババ(Alibaba)傘下のアントフィナンシャル(Ant Financial)と提携し、アントフィナンシャルの利用者の信用ポイントが一定数を超えていれば、シェア自転車を保証金なしで利用でき、毎回利用した分だけ支払えばよいという。(c)東方新報/AFPBB News