【11月26日 AFP】パキスタンの首都イスラマバードで25日、政府への抗議のため数週間にわたって座り込みを続けているイスラム教徒の集団を警察が強制排除しようとした際、激しい衝突が発生し、少なくとも警官1人が死亡、治安当局者137人を含む190人が負傷した。事態を受け、政府は軍の出動を許可した。

 治安当局はこの衝突で、催涙弾やゴム弾を使用。一方、デモ隊は道路をふさぎ、座り込み場所周辺の警察車両に火を放った。イスラマバード警察は、警官1人が頭に投石を受けて死亡したことを確認した。

 暴力が激しさを増す一方、抗議行動はラホール(Lahore)、カラチ(Karachi)といった大都市や、同国全土の小さな町にも広がった。

 デモを始めたのは、ほぼ無名のイスラム系強硬派集団TLYRAP。同集団は今月6日から首都に入る幹線道路のうち1本の通行を阻止し、深刻な交通渋滞を引き起こして市民の怒りを買っていた。

 TLYRAPは、選挙の立候補者に義務付けられている宣誓の文面の改訂をめぐり、ザーヒド・ハミド(Zahid Hamid)法相の辞任を要求。改訂はすでに撤回されているが、神への冒涜(ぼうとく)に当たるとして非難を続けるとともに、長く迫害対象となっているイスラム教少数宗派アフマディー(Ahmadi)の信者の政治参加を可能にするため内容が緩和されたと主張している。

 治安当局がデモ隊の解散作戦に乗り出した際、デモ参加者は約2000人いた。現場のAFP記者らによると、参加者はその後も増加。ツイッター(Twitter)をはじめとするソーシャルメディアの閲覧を制限しようとする動きがあったにもかかわらず、多くの人が投稿に触発されたという。

 25日夜の時点で、衝突後もイスラマバード市内に残っているデモ参加者の数は明らかになっていない。

 衝突発生後、警察や治安部隊は撤退した。また、イスラマバード当局は軍の介入を要請。内務省によれば、連邦政府は市内の「法と秩序を維持する」ため「十分な兵士」が出動することを許可した。

 これまでのところ軍当局者のコメントは得られていない。また25日夜の時点では、通りに兵士の姿は見られない。(c)AFP/Daud MUHAMMAD and Aamir QURESHI