【11月25日 AFP】リビアで移民が奴隷として売買されているとする問題が明らかになったばかりだが、こうした問題は単独の事例ではない。昨年の統計では、世界で推計4000万人以上が現代の奴隷市場の犠牲となっており、うち約2500万人は強制労働、1500万人は強制結婚の被害者だ。だが、国連(UN)の国際労働機関(ILO)、国際移住機関(IOM)と人権団体「ウオークフリー・ファウンデーション(WFF)」が行った合同調査によると、「現代の奴隷」の実際の人数はもっと多いと推測されている。

 この調査により、いくつか重要な点が明らかにされた。

■強制労働

 強制労働をさせられている2500万人近い人々の約4分の1は、一般家庭で奴隷状態にある。その他、奴隷として働かされている場所には、工場や建設現場、農場、漁船などがある。

 奴隷となっている人々の半数以上は、自分を奴隷として所有する人物に借金がある。他に奴隷状態から逃げ出せない理由としては、薬漬けにされている、身体的虐待を受けている、支払われている金銭が少な過ぎて逃走できない、あるいは、あまりに遠くまで連れて来られていて家に帰れない、といったことが挙げられる。

 500万人近くは強制売春をさせられている。さらに400万人強は、刑務所での強制労働や従軍の強制など、国家機関が強制する労働の犠牲となっている。

■女性と少女

 現代の奴隷の71%を占める2900万人近くは女性と少女だ。また、4人に1人は子どもで、約1000万人に上る。

 約1540万人が自分の意思に反する結婚を強制されており、うち3分の1以上が18歳未満、そしてほぼ全員が女性である。売春によって強制労働に従事させられている被害者の99%が女性であることも分かった。

■奴隷が多いのはアフリカとアジア

 現代の奴隷が最も多いのはアフリカで、1000人中7.6人が被害を受けている。次いでアジア太平洋地域が1000人中6.1人となっている。

 しかし、絶対数で最も多いのはアジア太平洋地域で、現代の奴隷全体の62%を占める。強制労働が最も多いのが同地域で、1000人に4人の割合で犠牲となっている。

 アフリカでは1000人中4.8人の割合で強制結婚させられており、これは世界全体の1000人中2.1人という割合の2倍以上に相当する。

■狙われやすい移民

 移民と人身売買の関係、特に移民から被害者となる事例がいくつかの研究で指摘されている。今年IOMが、リビアから欧州へ向かう移民を対象に行った調査では、回答者の4分の3が人身売買の被害者になったことがあると答えている。(c)AFP