■心はいつもワイアピ

 4人きょうだいの末っ子である4歳の息子を見下ろしながら、ジャワルワさんは心配そうな表情を見せた。

 ここでは多くの若者が学業のために家を離れるのだが、一度離れてしまった後にちゃんと戻ってくるのか心配なのだ。若者の多くは、就学後に戻るとされる。それでもやはり不安は隠せないようだ。「彼が村を出て、町を気に入るようなことがあれば、ワイアピの文化を身につけようとは思わないでしょう」とジャワルワさんは言う。

 20年間離れていた後に、集落に戻って来たというカルビ・ワイアピさん(57)は「再び完全なワイアピ」になるのに4年かかったとしながら、「世界には多くの悪がある」と語った。

 しかし、ジャワルワさんの助手として定期的にぺドラブランカを訪れているカモン・ワイアピさん(25)にとって、生き延びるために重要なのは、自分が本当は何者かを思い出すことだという。

 町へ向かうAFP取材班の車に同乗したカモンさんは、郊外まで来ると車を降り、赤い腰巻を外してジーンズと革靴、ポロシャツに着替えた。

「よし、白人になったぞ」と冗談交じりに言うカモンさんに対して、服を着るとワイアピではなくなった気がするのかと質問してみた。すると彼は「いいえ、私の中身は何も変わりません」とちゅうちょなく答えた。(c)AFP/Sebastian Smith