【1月3日 AFP】ディズニーランドには20世紀初頭ごろの街並みをモデルにした「メインストリートUSA(Main Street, USA)」やモノレールがありミッキーマウスがいるように、中国の南街村(Nanjie Village)には東方紅広場(East is Red Square)や観光客を乗せる赤い路面電車があり、毛沢東(Mao Zedong)の像が私たちを迎えてくれる。

 河南省中央部にあるこの村には毎年大勢の観光客が押し寄せる。共産主義体制を完璧な形で継承し続けていることが一種の魅力となっているのだ。

 この村に暮らす約3700人の住民は、毎朝毛沢東を賛美する放送とともに起床し、共産主義の素晴らしさを賞賛する「赤い」歌を歌って仕事を始める。

 南街村では、これまで通りに企業を共同所有し、人々はこれまで通りの思想を吹き込まれる。中国を世界第2位の経済大国に変貌させた市場改革より前の時代で止まっているようだ。

 観光客は東方紅広場のシンボルになっている毛沢東の巨大な像の前から、「適度な繁栄」や「中国の夢」と名付けられた赤い小さな路面電車に乗り、公園や工場、そして住民たちが集産主義の素晴らしさを語る公共住宅の区画に向かう。

 中国では現在、共産主義的なものへの回帰現象が起こっている。習近平(Xi Jinping)国家主席も中国共産党幹部らにマルクス主義から逸脱すれば党は「その本質や方向性を見失うだろう」と話したという。

 南街村のジャーナリストによると、最近では、昔を懐かしむ観光客を引き寄せるだけでなく、地方の当局者や共産党員などが「南街村の精神」を学ぶためにやって来ることが増えているという。(c) AFP/Ben Dooley