【11月27日 AFP】バングラデシュの難民キャンプで、医師の診察を待ちながら火の付いたように泣き叫ぶモハマド・ソハイル(Mohammad Sohail)ちゃん(1)──。数万人いるとされる、ミャンマーから逃れてきたイスラム系少数民族ロヒンギャ(Rohingya)の子どもたちの一人だ。隣国バングラデシュの難民キャンプにたどり着きはしたが、今度は栄養失調による苦しい死の淵に立たされている。

 モハマドちゃんの父親は、仏教徒が多数を占めるミャンマーのラカイン(Rakhine)州で広がるイスラム教徒排斥の動きの中で殺された。母親のハサナ・ベグム(Hasana Begum)さん(23)は、モハマドちゃん兄弟を連れて逃げ出すより他なかった。8月以降、こうしたロヒンギャ難民は約61万人に達している。

 モハマドちゃん一家はほとんど何も食べずに7日間、丘陵地帯やジャングルを歩き、2週間前にバングラデシュ国境までやって来た。困難な旅は一家を打ちのめし、1歳10か月のモハマドちゃんのあばら骨は、皮膚を突き破りそうなほど浮き上がっている。手は骨と皮しかない。

 医療チームはロヒンギャの乳幼児らに少しでも筋肉をつけてもらおうと、栄養価の高い特殊なベビーフードを配給している。だがどの子にとっても、命が懸かった闘いだ。

 国連児童基金(ユニセフ、UNICEF)によると、過密状態のロヒンギャ難民キャンプで暮らす子のうち、推計で2万5000人が深刻な栄養不足に陥っており、大きな死因の一つになる恐れが強い。

 UNICEFバングラデシュ事務所のエドゥアール・ベグベデ(Edouard Beigbeder)代表は、「キャンプにいるロヒンギャの子らは、ラカイン州での恐怖と危険な旅にさらされ、既に苦境に追い込まれている」と指摘。

「深刻な栄養不足に陥っているこの子どもたちは、完全に予防・治療可能な原因で死の危険にさらされている。今すぐ助けが必要だ」と訴えている。