【12月10日 AFP】タイの人気観光地プーケットにあるキャバレー、ザグ(ZAG)では、ピンクのスポットライトを浴びた歌手が中国の人気ラブソングを口パクで歌っている。観客席を埋めるのは、母国での批判的なまなざしから逃れ、性的な「自由」を求めてこの国にやってきた同性愛の中国人観光客たちだ。

 推定約7000万人の性的少数者(LGBTQ)が暮らす中国では、性産業の規模は欧州と米国に次いで世界3位。しかし、性的少数者だと公表することはいまだに困難だ。

 好みの服装をしたり、公の場でいちゃついたりすると好奇の目を向けられ、家族の間でも騒動になる。同性愛者のわが子を「転向」させようと、病院で治療を受けさせる親もいる。

 中国では2001年まで同性愛は精神疾患とされ、1997年までは犯罪とされていた。当局は同性愛者を支持する活動家らを拘束するなどしている。

 多様な性に寛容なことで知られるタイは、中国人の同性愛者にとっては家族からのプレッシャーや好奇の目から逃れてのびのびできる、魅力的な観光地となっている。(c)AFP/Joanna CHIU