【11月21日 AFP】米司法省は20日、米通信大手AT&Tによる米メディア・娯楽大手タイム・ワーナー(Time Warner)の買収を阻止するため提訴した。AT&Tは異議を申し立てる方針。合意されている買収額は850億ドル(約9兆5700億円)に上り、独占禁止法(反トラスト法)関連では過去数十年で最大規模の法廷闘争が展開される見通し。

 買収は1年余り前に発表され、実現すればケーブルテレビ局HBO、ニュース専門局CNNなどタイム・ワーナー傘下の部門が持つ膨大なコンテンツと、AT&Tの巨大なインターネット・有料テレビ配信網が統合されることになる。

 司法省反トラスト局のメイカン・デルラヒム(Makan Delrahim)局長は「この合併が実現すれば米国民に多大な損害を与える。月々に支払うテレビ料金が上がり、消費者が享受している革新的な選択肢は少なくなる」と指摘した。

 一方、AT&Tの法務部門幹部は、タイム・ワーナーとの合併は競争上の重複がない「垂直的」なものであり、判例で認められるべきだと主張。司法省の提訴を不服として異議を申し立てる方針を明らかにした。

 買収をめぐっては、ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領が昨年の大統領選で阻止を公約に掲げていた。トランプ氏はCNNを「偽ニュース」などと繰り返し攻撃している。(c)AFP