【11月21日 AFP】ドイツのアンゲラ・メルケル(Angela Merkel)首相は20日、次期政権の樹立に向けて進めてきた連立協議が決裂したことを受けて、解散総選挙を行う用意があると明らかにした。少数与党の政府については「非常に懐疑的」だとし、「どんな決定にも過半数を確保する必要のない」安定した政府が必要だと強調した。

 メルケル首相は、9月の総選挙で自身が率いる中道右派のキリスト教民主・社会同盟(CDU/CSU)が過半数を得ることができなかったため、財界寄りの自由民主党(FDP)、左派の緑の党(Greens)と難しい連立協議を余儀なくされていた。

 協議は19日に物別れとなり、欧州最大の経済大国ドイツが政治危機に陥り、4期目となるメルケル首相の政治キャリアの終わりにつながる可能性が出ている。

 ただ、新たな選挙にもリスクがあり、各党の獲得議席が9月の総選挙と同程度かそれ以上に分散する可能性がある。

 議会の解散権を持つフランクワルター・シュタインマイヤー(Frank-Walter Steinmeier)大統領は、選挙は自身が望む選択肢ではないとして、主要政党に対し連立協議のテーブルに戻るよう求めている。

 シュタインマイヤー大統領は「ドイツ連邦共和国の過去70年の歴史で前例のない状況」にあると危機感をあらわにし、国会議員には有権者の付託に応える義務があると強調している。

 大連立を組んでいた中道左派の社会民主党(SPD)のマルティン・シュルツ(Martin Schulz)党首は、CDU/CSUと新たな大連立を組む考えはないと繰り返し表明している。(c)AFP/Hui Min NEO and Deborah COLE