【11月20日 CNS】中国・清華大学(Tsinghua University)と、人工知能(AI)や音声認識技術を研究する科大訊飛(iFLYTEK)が共同で研究開発した人工知能(AI)の「医療アシスタント」ロボットが、中国の医師国家試験の筆記試験に合格した。共同チームが14日に発表した。世界初という。

 試験は、今年8月26、27の両日、国が指定したインターネットが遮断された試験場で行われた、同国の医師国家試験に当たる国家執業医師資格試験。四つの各150分間の試験を、平均15分8秒で回答してしまった。専門家による採点を受け、四つの試験の最高得点は456点で、合格点を96点上回ったという。全国53万人の受験生の中では中位から高レベルであると評価された。

 清華訊飛連合実験室の呉及(Wu Ji)主任によると、大量の医学知識をコンピュータに表示することは非常に難しいという。また、従来のナレッジグラフ(Knowledge Graph)ではパフォーマンスが間に合わない。こうした課題を解決するために呉主任のチームが採用した「受験勉強」は、「セマンティック・テンソル(Semantic Tensor)」という方法。試験に向けて、大学医学部で学ぶ全教材と臨床ガイドライン、基本症例などの資料を学習させ、その知識を拡張する「テンソル」によって膨大な医学知識ベースを「医療アシスタント」に構築することに成功した。

 呉主任は「試験の回答時、ロボットは出題された問題と選択肢について分析を行い、与えられたすべての選択肢に対して正解を裏付ける証拠を探す。問題、選択肢、証拠の3点を総合的に判断し、相関性と信頼度に基づき回答を得る」と説明する。

 科大訊飛の陶暁東(Tao Xiaodong)医療総経理によると、「医療アシスタント」は2018年3月に全国展開する予定で、医師の助手として臨床補助、医療トレーニング、医学教育などの多方面で活躍する予定だという。(c)CNS/JCM/AFPBB News