【11月20日 AFP】フランスの首都パリ近郊で、警察官が3人を射殺した後、自殺する事件が発生した。当局が19日、発表した。交際相手とのいさかいに端を発したとみられる。

 パリ警視庁所属のアルノー・マルタン(Arnaud Martin)容疑者(31)は、18日夜に勤務を終えた後、同市北郊サルセル(Sarcelles)に住む交際中の女性に会いに行った。別れ話をするためだったという。

 サルセルのあるバルドワーズ(Val d'Oise)県ポントワーズ(Pontoise)のエリック・コルボー(Eric Corbaux)検察官によると、2人の間で口論となり、マルタン容疑者は恋人の顔面を撃った。その際、仲介に入った30歳と44歳の男性2人を殺害した。

 その後同容疑者は、数メートル離れた女性の実家に行き、父親を殺害した上、母親の喉に重傷を負わせた。さらに姉妹の脚を撃ち、飼い犬も殺した。

 コルボー検察官の話では、容疑者は後に「庭の奥で銃を手にしたまま、頭に銃創を負って死亡」しているのが見つかったという。

 コルボー氏は、19日の時点で入院中の交際相手の女性の容体は安定しているが、女性の母親は「重体」だと明かした。

 フランスでは警察官の自殺が急増しており、今年だけで警官45人以上と憲兵16人が自殺したとされる。

 ジェラール・コロン(Gerard Collomb)内相は現地ラジオ局フランスアンテル(France Inter)の取材に対し、容疑者は「ある時点で完全に正気を失った。武装しており、発砲が可能な状態だった」と語った。

 だがコロン内相は、2015年11月のパリ同時襲撃事件を受けて導入された、非番警官の武器携帯許可制度を撤回するつもりはないと言明。「警察の管理職による十分な注意が必要だ」とする一方で、警察官の自殺の大半は個人的な事情に起因しているという認識を示した。(c)AFP/Eve SZEFTEL