【11月19日 AFP】英ロンドンの人たちが飲むコーヒーが環境に優しい燃料となって名物の赤い2階建てバスを走らせる──このほど、ロンドン交通当局が使っている燃料にコーヒー豆のかすを利用した燃料約6000リットルが加えられることになった。これはバス1台の燃料1年分に相当する量だという。

　この環境啓蒙（けいもう）活動を仕掛けたのは、英国の環境系新興企業バイオビーン（bio-bean）だ。英蘭石油大手ロイヤル・ダッチ・シェル（Royal Dutch Shell）から資金と技術面での支援を受け、4年を費やしてコーヒーを抽出した後の豆かすを原料とする燃料を開発した。

　バイオビーンによると、ロンドンっ子が1日に飲むコーヒーは平均で2.3杯。これからミネラル分が豊富なコーヒー豆のかすが年間20万トンとれる計算になる。

　同社の創業者アーサー・ケイ（Arthur Kay）氏（27）は先日行われた説明会で「ごみ廃棄場に送られたコーヒーかすはそこで腐敗し、メタンガスや二酸化炭素（CO2）が発生しますが、バイオビーンではトン単位のコーヒーかすを廃棄場に送る代わりに収集し、再生可能燃料としてリサイクルしています。これらの燃料は在来型燃料に置き換えられるので、二重の意味で省エネなんです」とAFPに語った。

　バイオビーンがロンドン市内のコーヒーショップから集めたコーヒー豆のかすは近郊のケンブリッジシャーにある自社工場で加工される。この豆かすから抽出されたコーヒー油は英最大のバイオ燃料メーカー、アージェント・エナジー（Argent Energy）に送られて動植物油につぎ足され、最終的に混合率20％のバイオディーゼル燃料となる。

　バイオビーンによれば、こうしてできたバイオディーゼル燃料を在来型燃料に置き換えれば、エンジンの改良や余分な支出なしでバスから排出されるCO2量が10～15％削減できる。この燃料はバスだけでなく、タクシーやトラックにも使えるという。(c)AFP