【11月18日 AFP】スイスのジュネーブで17日、史上初の自律型兵器、いわゆる「殺人ロボット」に関する国連(UN)の公式会議が閉幕した。だが「殺人ロボット」の使用を制限するための協議の進展が遅いことに対し、批判の声が高まっている。

 会議の議長を務めたインドの軍縮大使、アマンディープ・ギル(Amandeep Gill)氏は批判を緩和しようと、「ロボットは世界を乗っ取ってはいない。(世界は)いまだに人間が管理している」と発言した。

 人間が制御しなくても目標を識別し破壊する兵器システムはまもなく実戦配備が可能となると専門家らは指摘している。そうした兵器を抑制するための規定の設定に向けた最初の一歩が今回の、特定通常兵器使用禁止制限条約(CCW)に関する会議だった。

だが、活動家らは遅々として進展しない協議ではすでに進行している軍拡競争に対応できず、時間切れになってしまうと警鐘を鳴らしている。

 国防予算の規模が小さく、技術的なノウハウも少ない国を中心とした22か国は自律型兵器について、本質的に違法で、攻撃開始については一つずつすべて人間が決定を下さなければならないと主張し、全面禁止を求めている。

 だがギル氏は、殺人ロボットについては禁止どころか、規定に関する合意までさえもいまだ遠い状態であるとし、来年再びこの問題は協議される予定だと述べた。

 国際人権団体ヒューマン・ライツ・ウオッチ(Human Rights Watch)兵器部門のメアリー・ウェアハム(Mary Wareham)氏はAFPに対し、人間が制御しなくても標的を選択・破壊できる兵器に「世界中の軍や兵器企業が巨額を投じている」と語った。

 また赤十字国際委員会(ICRC)のキャサリン・ラワンド(Kathleen Lawand)氏は電子メールで、ICRCは禁止は求めていないが、技術の進歩は速く、制限をを設ける動きが「緊急に必要」だと述べた。

 会議と並行して行われたイベントで講演した人工知能(AI)の専門家、豪ニューサウスウェールズ大学(University of New South Wales)のトビー・ウォルシュ(Toby Walsh)氏は、「(殺人ロボットは)大量破壊兵器となるだろう。こうした兵器をわれわれ人間が禁止することに確信がある。だが、今すぐ(世界の国々に)そうする勇気があるか、それとも先に人間が死ぬまで待たなければならないのか、という点を懸念している」(c)AFP/Ben Simon