【11月18日 AFP】タジキスタンの国営アルミニウム製造企業TALCOは17日、同国内に中国が16億ドル(約1790億円)を投じてアルミニウム工場を建設するとの計画を発表した。中国は近隣の資源に乏しい国々の経済に影響力を強めている。

 TALCOの広報を務めるイーゴリ・サッタロフ(Igor Sattarov)氏は17日に記者会見を行い、中国の雲南建工集団(Yunnan Construction Engineering Group)が、タジキスタン西部トゥルスンゾダ(Tursunzoda)に両国の合弁工場を建設すると述べた。

 年間生産量50万トンのこの工場は「最先端の技術」によって1年半以内に完成する予定で、1200人の雇用が創出される。

 新工場はTALCOの既存のアルミニウム工場よりもエネルギー効率が良い。既存工場は年間50万トンの生産能力があるが、今年1~9月の生産量はわずか7万6000トンにとどまっている。

 旧ソ連構成国であるタジキスタンにとって、アルミニウムは主要輸出品の一つ。だが、国内の電力不足と世界的なアルミニウム価格の下落によって打撃を受けている。

 タジキスタン経済の戦略分野であるアルミニウム産業の発展は、ログン(Rogun)と呼ばれる巨大ダムが完成し、十分な電力を供給できるかどうかにかかっている。ログンダムの建設は2016年に始まったが、完成に必要な40億ドル(約4480億円)の資金を政府がどう工面するかについては明らかになっていない。

 中国は、昔からロシアが「裏庭」とみなしてきた旧ソ連の中央アジア地域との結びつきの強化を長らく模索してきた。すでにタジキスタンの対外債務の半分以上は、中国が占めている。

 タジキスタンは、中国の新疆ウイグル自治区(Xinjiang Uighur Autonomous Region)とアフガニスタンと国境を接する戦略的立地に位置し、人口は850万人。旧ソ連構成国の中でも最貧国で、労働年齢に達したタジキスタン人男性の半数は海外に出稼ぎに行っているとみられている。そのほとんどの行き先はロシアとなっている。(c)AFP