【11月26 AFP】気候を操作して地球温暖化を抑制するいわゆる「地球工学(ジオエンジニアリング)」をめぐっては、現実離れしている上に危険だとして、10年前は議論の対象として扱われることはなかった。しかし近年、地球工学は真剣に考慮すべき技術として注目を集めている。

 地球温暖化の問題に対しては基本的に、従来通り「プランA」での取り組みが続いている。しかし温室効果ガスの排出量を大幅に削減するための方策は極めて不十分で、現状では壊滅的な気候変動を自分たちの手で回避することは不可能だと大半の科学者らは口をそろえる。

「プランB」では、地球工学的な解決策が示されており、これは大きな物議を醸している「太陽入射光の低減」と、「二酸化炭素(CO2)の回収」という2つのカテゴリーに分類できる。

■太陽放射管理

「太陽放射管理(SRM)」の目標は、地球に降り注ぐ太陽光線の一部を宇宙空間に跳ね返し、地球表面に到達するのを防ぐというもの。いたって単純だ。

 これをテーマに映画「スター・ウォーズ(Star Wars)」シリーズの続編が作れそうだが、このアイデアを実現するには、地球に向かってくる太陽放射の一部を反射させるための、軌道を回る巨大な鏡を設置する必要がある。

 より現実的な計画として、反射効果のある微粒子を成層圏に投入するという案があり、来年秋に米アリゾナ(Arizona)州での実験が予定されている。

 太陽熱を遮断するために雲を操作する研究も行われている。その一つは、太陽光の反射率を上げるため、洋上の白くうねる雲を上手に利用することだ。他にも、熱を吸収しやすい巻雲を薄くするという研究などもされている。

 デメリット:太陽放射の管理が期待通りに行ったとしても、海洋を極度に酸性化する大気中のCO2の削減にはつながらない。さらに降雨パターンの変化といった反動リスクや、システムが破たんに直面した際には「ターミネーション・ショック」と呼ばれる急激な温暖化が生じるリスクもある。