【11月17日 CNS】中国・上海市(Shanghai)に拠点を置くオンライン旅行サービス最大手シートリップ(Ctrip、携程)の社内託児所「携程親子園」で保育士が預かった幼児を虐待していた問題で、上海市婦女児童工作委員会(婦児工委)は15日、調査状況を公表した。「児童を傷つける深刻で卑劣な事件であり、社会にも悪影響を及ぼした」とした上で、上海市婦女連合会(以下「市婦連」)の傘下の会社への管理監督が不足していたことが原因だと断定。監督、管理不行き届きなどの責任を問うとしており、託児所運営を委託していた『現代家庭』雑誌社の経営幹部らの役職を解くなどの処分を行ったことを明らかにした。

 事件があった託児所は、シートリップの委託を受けた『現代家庭』雑誌社傘下の「読者サービス部」が運営していた。『現代家庭』雑誌社は、市婦連直属の企業で、市婦連責任者は「事件をきわめて深刻にとらえ、被害を受けた子どもと保護者、社会に対して心から謝罪したい」と陳謝した。

 調査は、上海市婦児工委が関連部門と専門家や弁護士などで編成したチームが実施。「『現代家庭』雑誌社の経営幹部による「携程親子園」プロジェクトに対しての意思決定に厳重な誤りがあった」と指摘。傘下にある読者サービス部への日常的な管理と監督が不十分であったとしている。

 調査結果によると、上海市長寧区(Changning)婦連は2016年1月、社員へ託児サービスを提供したいとするシートリップに対して、委託先として読者サービス部を含む3社を推薦。シートリップは検討の結果、読者サービス部に「携程親子園」の管理を委託することに決定し、読者サービス部が運営することに決定。翌2月、双方が協議に合意し開園した。

 保育士が不足していたことから、読者サービス部は2016年3月、上海錦霞(Jinxia)教育情報相談社(錦霞)と運営サービス購買協議を結び、「孫請け」となった錦霞から「携程親子園」の園長とスタッフ数人が派遣された。

 調査を主導した婦児工委は、錦霞など事件に関わった会社と責任者に対し指導を実施。市婦連は「責任を負い、事件を適切に処置し、深く反省した上で積極的に改善していく」とし、『現代家庭』雑誌社支部書記で、社長も勤めていた紀大慶(Ji Daqing)編集長の役職を取り消し、専門技術職の階級を降格させた。ほかの経営幹部についても訓戒処分とし、役職を取り消した。また、同社と読者サービス部に法的責任を負うよう厳しく命じ、積極的に残務に取り組み、事件の処理の完了後は法に従い読者サービス部を解散することを明らかにした。

 また、上海市教育部、民政部、衛生・計画生育委員会などの各部門が連携し、託児サービス機関に関してより踏み込んだ規則や基準について検討・制定することとした。また、すみやかに具体的な管理方法を導入した上で監督・管理を強化して子どもが被害に遭う事件を防ぎ、子どもの合法的な権利を確実に保護するとした。

■責任者も児童虐待の疑いで逮捕

 上海市政府新聞弁公室のウェイボー(Weibo)の公式アカウント「上海発布」の15日の発表によると、上海長寧警察は、社内託児所の責任者だった鄭容疑者を逮捕したとしている。

 この事件をめぐっては、保育士が子供をたたいたり、無理やりワサビを食べさせたりする映像がインターネット上で広まり、騒ぎに発展した。同園の幼児を傷つけたなどの疑いで、保育士3人がすでに逮捕されている。(c)CNS/JCM/AFPBB News