【11月17日 AFP】東京都内と茨城県つくば市を結ぶ「つくばエクスプレス(TX)」で今週、列車が定刻より約20秒早く出発する事態が起き、乗客に多大な迷惑をかけたと運行会社が謝罪声明を出した。定時運行と礼儀正しさで知られる国にしても驚きだとの声が上がっている。

 首都圏新都市鉄道によると今月14日、南流山駅で午前9時44分40秒に発車する予定の列車が、午前9時44分20秒に発車してしまった。

 同社は「お客様には大変ご迷惑をおかけしましたことを、深くおわび申し上げます」「なお、この件でお客様からの苦情などはありません」との声明を発表した。早く発車してしまったことにより乗客が乗車できなかったという報告もなかったとしている。

 日本の鉄道は新幹線をはじめ、時刻表に世界一厳密な運行をすることで知られ、わずかな遅延でも駅員が乗客に謝罪する。膨大な乗客をさばくため2~3分置きに列車が走る路線では、わずかな遅れが鉄道ネットワーク全体の混雑悪化につながることもある。

 AFPの取材に対し広報担当者は、過去にも早発が生じた際に同様の謝罪声明を出したことはあり、今回ニュースとして注目を浴びたことに「驚いている」と述べた。

 この担当者は、20秒という時間は重要ではなく、手順がきちんと守られていないと安全上の問題が起きる恐れがあると指摘。通常の発車手順では発車15秒前に音楽が鳴り、次に閉まるドアに注意を呼び掛けるアナウンスが流れてからドアが閉まるが、アナウンスなしにドアが閉まれば飛び乗ろうとした乗客がドアに挟まれるなどのトラブルにつながりかねないと説明した。

 だが、ソーシャルメディア(SNS)上では驚きや困惑の声も上がった。あるSNSユーザーは「日本人にとっても驚き」だと投稿した。また、神戸製鋼所(Kobe Steel)や日産自動車(Nissan Motor)で相次いだ不祥事を引き合いに出し、製品データ改ざんや自動車検査での不正は平気でやるのに、20秒の列車遅延は深く謝罪するなんておかしな国だという主旨のツイートもあった。(c)AFP